2022.10.14

グルメ

これからの北海道のコーヒー"フラットホワイト"って…ミルクの質感が違う!【小樽】

小樽 花園 B3 Coffee カフェ フラットホワイト コーヒー 北海道

小樽の観光地エリアから離れた花園地区

かつては小樽駅と南小樽駅が別々の路線上に位置していたので、その間を人力車などで往来する人たちがくつろぐ歓楽街として発達したという、歴史ある街区です。

その一隅に、私がどうしても行きたいスペシャルティコーヒーショップがあったので、行ってきました。名前は『B3 Coffee』です。ここは、きっと近い将来、北海道のコーヒーのスタンダードになるであろう「フラットホワイト」を提供している貴重なお店です。

”B”は家族のキズナのコードネーム

その前に、ちょっと不思議なこの「B3」という名前についてご紹介します。

この店名は、ご家族のファミリーネームから由来しています。家族のキズナのコードネームのようなものですね。ご夫婦とお嬢さんで仲良くやっていらっしゃるコーヒーショップです。

オーストラリアに住んでいたご主人と、日本からオーストラリアに渡った奥様が、最終的に日本で落ち着いてコーヒーショップをオープンしたのが、この小樽の歴史あるエリア。エスプレッソマシンで淹れる質の高いコーヒーを飲むため、常連さんが入れ替わり訪問しています。

「スペシャルティコーヒーショップ」ってなに?カフェとは違うの?

こちらのお店では「カフェ」ではなく、「スペシャルティコーヒーショップ」という名前を使っています。カフェとどこが違うのでしょうか?

元来カフェとはフランス語でコーヒーのことを指しますが、転じてコーヒーも置いてある総合飲食店の意味へと発展していきました。フランスではコーヒーを主役で味わう習慣があまりなかったのです。

ワインとフードのペアリングを発達させた国ですから、19世紀の「カフェ」では大量のゲストに多彩な食事とともに大量にコーヒーが消費されたので、いかに効率よくコーヒーを入れるかという方向に研究は進んでいました!

しかしオーストラリアやニュージーランド、そして北欧では、あくまでも質の高いコーヒーをメインとした飲み方が好まれました。

それゆえコーヒーという言葉を中心に置いた「コーヒーショップ」というシンプルなスタイルが確立されていったのです。

コーヒーをワインのように楽しむスタイル

ヨーロッパやオーストラリアのコーヒースタンドでは、基本的に「スペシャルティコーヒー」という水準が高く必要以上に焙煎をしすぎず、ワインにも似た風味を持つコーヒーを大切にします。

そしてフードにはそうしたコーヒーの世界観にマッチしたシンプルなケーキ、例えばバナナブレッドやマフィンなどをメインとします。

コーヒーが単なる食事やデザートのパートナーではなく、より美味しいコーヒーをできるだけ自然な状態で味わいたいという、そんな哲学が背景にあるのです。

B3 Coffee

「フラットホワイト」を飲んでみます。

「B3Coffee」は、もちろんご家族のルーツであるオーストラリアンスタイルを踏襲しています。

北海道ではなかなか本物に出会うことができない「フラットホワイト」を飲んでみたかったのです。これはミルクのクオリティが高い北海道の、これからのスタンダードな飲み方のひとつになると思います。

フラットホワイトとは、主にオーストラリアやニュージーランドで飲まれているコーヒーの飲み方です。一見、カフェラテのようですが、ミルクの構成に違いがあります。

「フラットホワイト」の定義。

厳密な定義は決まっていませんが、エスプレッソ、スチームミルク(温めたミルク)、フォームミルク(いわゆる泡のミルク)の使い方が「フラットホワイト」と「カフェラテ」では違います。

ミルクの使い方にはバリエーションがありますが、基本的には「ミルクの力を借りてシルキーなコーヒーの質感を追求している」のがフラットホワイトの特徴とも言えるでしょう。

いっぽう、フォームミルクとスチームミルクが多めで、ミルク感がしっかり味わえるのがカフェラテ、と言えそうです。

スムース、でもしっかりした飲みごたえ。


B3 Coffee

ラテアートなどを見ると一見ラテにも見えますが、もっとコーヒーとミルクの織りなすマーブルのようなコントラストが濃いように見えますね、早速頂いてみます。

なんというスムースだけどしっかりしたコーヒーとスチームミルク、フォームミルクのアンサンブル! 結構ずっしりとした飲みごたえはあります。

飲んだ後には、不思議なミネラルの旨味を感じました。実は乳脂肪分のテイストが濃い北海道のミルクは、コーヒーには不向きと言われることもありますが、それを上手に武器として滑らかで繊細なフォームミルクに変えているんだなあと思いました。それがコーヒーの美味しさを引き出しています。

ミルクだけではなく、コーヒーの風味も印象的。

しかしコーヒーの風味がとても華やかで香り高いのです。この味は東京で飲んだかことがありましたので聞いてみたところ、清澄白河にある「Allpress Espresso Tokyo Rostery」の特別注文の豆を使っているとのこと! なるほど!

今や清澄白河は、蔵前や奥渋&表参道と並び、世界でもかなり水準の高いコーヒー地域であると言われています。その中でも特に有名なのが、ニュージーランドで創業したコーヒーロースター「All press  Espresso」。2014年に清澄白河にオープンした、私も大のお気に入りのスタンドの一つです。

コーヒーからはフルーツやチョコレートを思わせるフレーバーが漂ってきています。それが北海道の極上のミルクから作られたスチームやフォームと絶妙に合う!

B3 Coffee

スペシャルなコーヒーに、バナナブレッドは欠かせない。

そして、そのこだわりのフラットホワイトとペアリングさせるフードとして、今回はオーストラリアの大定番「バナナブレッド」を頂きました。

こちらのバナナブレッドは、バターをたっぷり含んだ充実の食べ応えのものに、素敵な生クリームが添えられています。このバターとクリーム、そしてフラットホワイトの中のミルク成分が見事につながり、忘れられないフードペアリングとなりました。コーヒーを支える、素晴らしい乳製品の旨味のリレーです。

「ロングブラック」も忘れないで。

そうしてもうひとつ忘れてはならないのは、「ロングブラック」

コーヒーの旨味を水(お湯)を使って引き出すブラックコーヒーで、よりダイレクトにコーヒー豆のフルーツ感を味わうことができました。エスプレッソのお湯割と言われることもありますが、もっと複雑なテイストです。
まるでトマトかブラッドオレンジのような濃い旨味と心地よい酸味がしっかり感じられ、エグみや苦味がない、印象的な一杯でした。

コーヒー豆は英語ではコーヒーチェリーと言われ、ローストする前は本当にベリーかチェリーのようです。最近のスペシャルティコーヒーでは、焙煎しすぎることをせずに、そのフルーツの風味を活かすようにしています。

残念ながら歴史的な背景から日本特に北海道では過度にローストした豆を好み傾向がありますが、今、若い世代を中心にどんどんコーヒーチェリーそのものの魅力に開眼してきた人が増えてきたようです。ロングブラックはそれを味わいやすい方法だと思います。

これからのコーヒー文化をイメージしつつ、小樽散策に。

「B3 Coffee」のようなスペシャルティコーヒーショップは、おそらく数年先にはヨーロッパや東京に続いて、北海道にもかなり広がっているでしょう。

素材重視のスタイルは、これからの北海道にはぴったりだと思います。そう期待して、コーヒーをここで飲んだ後に花園町の一隅から夕暮れの小樽へ散歩に出かけてみてはいかがでしょうか?

秋の快適な夕暮れから夜の時間帯、コーヒーで温まった後に手宮線を歩きつつ、色々頭を整理したり、物思いに耽るというのはとても楽しいと思います。

これからの北海道のコーヒーを、小樽で思い描いてみましょうか!

B3 Coffee 
住所:小樽市花園1-7-6
電話番号 0134-35-8490
営業時間:
火、水、金、土 午前10時〜午後8時30分
日、月 午前10時〜午後6時
定休日:基本は木曜日
営業曜日、時間などは都度変わる可能性があります。
お問い合わせはInstagram経由にて
Instagram :@b3.coffee.otaru

(上記の情報は記事作成時点でのものです。
最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください)

”B”は家族のキズナのコードネーム

その前に、ちょっと不思議なこの「B3」という名前についてご紹介します。

この店名は、ご家族のファミリーネームから由来しています。家族のキズナのコードネームのようなものですね。ご夫婦とお嬢さんで仲良くやっていらっしゃるコーヒーショップです。

オーストラリアに住んでいたご主人と、日本からオーストラリアに渡った奥様が、最終的に日本で落ち着いてコーヒーショップをオープンしたのが、この小樽の歴史あるエリア。エスプレッソマシンで淹れる質の高いコーヒーを飲むため、常連さんが入れ替わり訪問しています。

「スペシャルティコーヒーショップ」ってなに?カフェとは違うの?

こちらのお店では「カフェ」ではなく、「スペシャルティコーヒーショップ」という名前を使っています。カフェとどこが違うのでしょうか?

元来カフェとはフランス語でコーヒーのことを指しますが、転じてコーヒーも置いてある総合飲食店の意味へと発展していきました。フランスではコーヒーを主役で味わう習慣があまりなかったのです。

ワインとフードのペアリングを発達させた国ですから、19世紀の「カフェ」では大量のゲストに多彩な食事とともに大量にコーヒーが消費されたので、いかに効率よくコーヒーを入れるかという方向に研究は進んでいました!

しかしオーストラリアやニュージーランド、そして北欧では、あくまでも質の高いコーヒーをメインとした飲み方が好まれました。

それゆえコーヒーという言葉を中心に置いた「コーヒーショップ」というシンプルなスタイルが確立されていったのです。

コーヒーをワインのように楽しむスタイル


B3 Coffee

ヨーロッパやオーストラリアのコーヒースタンドでは、基本的に「スペシャルティコーヒー」という水準が高く必要以上に焙煎をしすぎず、ワインにも似た風味を持つコーヒーを大切にします。

そしてフードにはそうしたコーヒーの世界観にマッチしたシンプルなケーキ、例えばバナナブレッドやマフィンなどをメインとします。

コーヒーが単なる食事やデザートのパートナーではなく、より美味しいコーヒーをできるだけ自然な状態で味わいたいという、そんな哲学が背景にあるのです。

「フラットホワイト」を飲んでみます。

「B3Coffee」は、もちろんご家族のルーツであるオーストラリアンスタイルを踏襲しています。

北海道ではなかなか本物に出会うことができない「フラットホワイト」を飲んでみたかったのです。これはミルクのクオリティが高い北海道の、これからのスタンダードな飲み方のひとつになると思います。

フラットホワイトとは、主にオーストラリアやニュージーランドで飲まれているコーヒーの飲み方です。一見、カフェラテのようですが、ミルクの構成に違いがあります。

「フラットホワイト」の定義。

厳密な定義は決まっていませんが、エスプレッソ、スチームミルク(温めたミルク)、フォームミルク(いわゆる泡のミルク)の使い方が「フラットホワイト」と「カフェラテ」では違います。

ミルクの使い方にはバリエーションがありますが、基本的には「ミルクの力を借りてシルキーなコーヒーの質感を追求している」のがフラットホワイトの特徴とも言えるでしょう。

いっぽう、フォームミルクとスチームミルクが多めで、ミルク感がしっかり味わえるのがカフェラテ、と言えそうです。

スムース、でもしっかりした飲みごたえ。


B3 Coffee

ラテアートなどを見ると一見ラテにも見えますが、もっとコーヒーとミルクの織りなすマーブルのようなコントラストが濃いように見えますね、早速頂いてみます。

なんというスムースだけどしっかりしたコーヒーとスチームミルク、フォームミルクのアンサンブル! 結構ずっしりとした飲みごたえはあります。

飲んだ後には、不思議なミネラルの旨味を感じました。実は乳脂肪分のテイストが濃い北海道のミルクは、コーヒーには不向きと言われることもありますが、それを上手に武器として滑らかで繊細なフォームミルクに変えているんだなあと思いました。それがコーヒーの美味しさを引き出しています。

ミルクだけではなく、コーヒーの風味も印象的。


B3 Coffee

しかしコーヒーの風味がとても華やかで香り高いのです。この味は東京で飲んだかことがありましたので聞いてみたところ、清澄白河にある「Allpress Espresso Tokyo Rostery」の特別注文の豆を使っているとのこと! なるほど!

今や清澄白河は、蔵前や奥渋&表参道と並び、世界でもかなり水準の高いコーヒー地域であると言われています。その中でも特に有名なのが、ニュージーランドで創業したコーヒーロースター「All press  Espresso」。2014年に清澄白河にオープンした、私も大のお気に入りのスタンドの一つです。

コーヒーからはフルーツやチョコレートを思わせるフレーバーが漂ってきています。それが北海道の極上のミルクから作られたスチームやフォームと絶妙に合う!

スペシャルなコーヒーに、バナナブレッドは欠かせない。

そして、そのこだわりのフラットホワイトとペアリングさせるフードとして、今回はオーストラリアの大定番「バナナブレッド」を頂きました。

こちらのバナナブレッドは、バターをたっぷり含んだ充実の食べ応えのものに、素敵な生クリームが添えられています。このバターとクリーム、そしてフラットホワイトの中のミルク成分が見事につながり、忘れられないフードペアリングとなりました。コーヒーを支える、素晴らしい乳製品の旨味のリレーです。

「ロングブラック」も忘れないで。

そうしてもうひとつ忘れてはならないのは、「ロングブラック」

コーヒーの旨味を水(お湯)を使って引き出すブラックコーヒーで、よりダイレクトにコーヒー豆のフルーツ感を味わうことができました。エスプレッソのお湯割と言われることもありますが、もっと複雑なテイストです。
まるでトマトかブラッドオレンジのような濃い旨味と心地よい酸味がしっかり感じられ、エグみや苦味がない、印象的な一杯でした。

コーヒー豆は英語ではコーヒーチェリーと言われ、ローストする前は本当にベリーかチェリーのようです。最近のスペシャルティコーヒーでは、焙煎しすぎることをせずに、そのフルーツの風味を活かすようにしています。

残念ながら歴史的な背景から日本特に北海道では過度にローストした豆を好み傾向がありますが、今、若い世代を中心にどんどんコーヒーチェリーそのものの魅力に開眼してきた人が増えてきたようです。ロングブラックはそれを味わいやすい方法だと思います。

これからのコーヒー文化をイメージしつつ、小樽散策に。

「B3 Coffee」のようなスペシャルティコーヒーショップは、おそらく数年先にはヨーロッパや東京に続いて、北海道にもかなり広がっているでしょう。

素材重視のスタイルは、これからの北海道にはぴったりだと思います。そう期待して、コーヒーをここで飲んだ後に花園町の一隅から夕暮れの小樽へ散歩に出かけてみてはいかがでしょうか?

秋の快適な夕暮れから夜の時間帯、コーヒーで温まった後に手宮線を歩きつつ、色々頭を整理したり、物思いに耽るというのはとても楽しいと思います。

これからの北海道のコーヒーを、小樽で思い描いてみましょうか!

B3 Coffee 
住所:小樽市花園1-7-6
電話番号 0134-35-8490
営業時間:
火、水、金、土 午前10時〜午後8時30分
日、月 午前10時〜午後6時
定休日:基本は木曜日
営業曜日、時間などは都度変わる可能性があります。
お問い合わせはInstagram経由にて
Instagram :@b3.coffee.otaru

(上記の情報は記事作成時点でのものです。
最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください)

大山幸彦

全国通訳案内士&ホルン奏者

小樽や空知の日本遺産ガイドや自転車ガイドをしている食いしん坊(北海道フードマイスター)であり、特にコーヒー、ワイン、チーズが大好き!北海道内・東京…あちこちで出会った美味しいものやイベントをご紹介します。 またホルン奏者として、野外イベントで BGMを担当旅のお供にパペットを連れて歩いているのは内緒です。

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