札幌市には、「ファミリーサポートセンター」という事業がある。
これは、子育ての援助を受けたい「依頼会員」と 援助したい「提供会員」が、会員同士で子育てを支援するという、有償のボランティアだ。
価格は、民間シッターサービス会社などの市場より遥かに安い。
そこで「提供会員」として活動する札幌の佐藤美子さん55歳。
子どもたちのママでありおばさんであり、助けを求めるママたちのお助けマンでもある。佐藤さんは、自分のことを「よろずや美子」と呼ぶ。
今年で8年目、これまでおよそ20人の子どもたちの成長を見守ってきた。
佐藤さんがサポートするのは、札幌に親戚がおらず孤独に子育てをしているという若いママが多い。
コロナウィルスの感染拡大で社会が大きく変わった今、2人目を出産する妊婦さんは、健診の度に、第一子を預けなければならない。感染防止で、子どもを連れて病院に通えなくなってしまったのだ。
そんなママたちのお助けマンが佐藤美子さん。
「出来ることはなんでもやりますよ~!若いママを応援する気持ちで、人んちの子をかまっているんです」と笑う。とにかく元気いっぱい。
「実は、自分が親に甘えられなかったからかなぁ。だから、甘える場所がないママを応援したいんですよね」と小声で話してくれた。
よろずや美子が動き出した
雪印メグミルクの社員食堂でアルバイトもする佐藤さん。
食堂での仕事ではマスクは必須だ。しかしコロナウィルス感染拡大を防ぐため、不織布の使い捨てマスクは3月半ばには買えなくなった。
そこで友達からマスクの型紙を仕入れたという。
最初は型紙通りに家族の分を作ったが、すぐに、お世話を続けている子ども達の顔が浮かんだ。絶対にコロナウィルスに感染しないでほしい、妊婦さんの顔も浮かぶ。
その瞬間、「頼まれる前にお節介にサポートをする”よろずや美子“」が”動き出したのだ。
感染者数を知ると気持ちが凹む。ミシンの音は自分に癒し
マスクを作るために家じゅうのガーゼを集めた。
ガーゼハンカチも、果ては白いポロシャツも、マスクの仕立て布になった。しかし到底、マスクのゴムは手に入らない。100均の伸びる毛糸をつかった。
換気扇のフィルターを縫い付けてみたり、リバーシブルにデザインしたり、試行錯誤のマスク作り。夜中までミシンを使い、保育で関わった親子に配達し続けた。既に200枚以上を作っている。
「ポストに入れとくね~」と各家庭を訪問して玄関ポストに届けるのが、佐藤さん流なのだという。まさに、マスクを買うために並ぶことができない妊婦さんや、小さい子供を育てるママたちを救う、ヒーローだ。
アメリカ人の友達に鼻タカマスクを制作!そこからオリジナルに発展
佐藤さんのこだわりは、立体マスクの「超立体具合」、そして換気フィルターを縫い合わせていること。
佐藤さんが習っている英会話の先生は、アメリカ国籍のアリーサ先生。そもそもマスクをする習慣もなく、「居心地が悪くて好きではない」とマスクの着用を拒んでいた。
佐藤さんは、鼻の高さにあわせて「超立体」に仕立てた布マスクをプレゼントしたという。
アリーサ先生は、「私の鼻にマッチして気持ちが良い!アロマオイルを垂らすとグッドスメルよ!布マスクは気分が良いわ」と話す。
ママが作るマスクより佐藤さんのマスクがいい!
佐藤さんのマスクの特徴は、「居心地よし・デザインよし・感染防止よし」の三方良しだという。
耳が痛くないように、ゴムではなく、紐を使って調整できる。リバーシブルになっており、白マスクには裏面の花柄がうっすら透けて、顔色を良く見せてくれる。
そして、厚地の三枚仕立て。抗菌フィルターが手に入る限りは、布の中に縫い上げたという。洗濯しても丈夫な仕上がりなのだ。
「ママのマスクよりも佐藤さんのマスクがいい!」とはしゃぐ子も多い。
マスクを作り始めて3週間。
ガーゼの布など素材は手に入らないが、佐藤さんの腕は上がる一方。口コミで広がった「マスクを作ってほしい」とのリクエストは、増える一方だという。
今日はマスクインナーを作った。マスクの内側を噛んでしまう子どもたちもこれなら何度も洗って使えるはずだ。
佐藤さんは、ミシンを動かしながら、「次々頼まれるんですよ。よろずや美子だからね」と笑顔で話す。
幼稚園の休業や保育園の時間短縮。
パパママのテレワークや、仕事の減少。
佐藤さんが、次に考えていることは、非常事態宣言で、心と体が窮屈になる子ども達をなんとかして、良い環境で遊ばせること。密を避けて、どこで遊ばせようか考えながら、
まだまだ頼まれているマスクを作り続けている。
■佐藤さんのFacebookはこちら
(yoshiko sato)
■【北海道発ヒーローな女たち】シリーズ記事はこちら
SNSの拡散が止まらない!1日100枚のマスクを作るヒーロー!
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コロナウィルスの感染拡大で社会が大きく変わった今、2人目を出産する妊婦さんは、健診の度に、第一子を預けなければならない。感染防止で、子どもを連れて病院に通えなくなってしまったのだ。
そんなママたちのお助けマンが佐藤美子さん。
「出来ることはなんでもやりますよ~!若いママを応援する気持ちで、人んちの子をかまっているんです」と笑う。とにかく元気いっぱい。
「実は、自分が親に甘えられなかったからかなぁ。だから、甘える場所がないママを応援したいんですよね」と小声で話してくれた。
よろずや美子が動き出した
雪印メグミルクの社員食堂でアルバイトもする佐藤さん。
食堂での仕事ではマスクは必須だ。しかしコロナウィルス感染拡大を防ぐため、不織布の使い捨てマスクは3月半ばには買えなくなった。
そこで友達からマスクの型紙を仕入れたという。
最初は型紙通りに家族の分を作ったが、すぐに、お世話を続けている子ども達の顔が浮かんだ。絶対にコロナウィルスに感染しないでほしい、妊婦さんの顔も浮かぶ。
その瞬間、「頼まれる前にお節介にサポートをする”よろずや美子“」が”動き出したのだ。
感染者数を知ると気持ちが凹む。ミシンの音は自分に癒し
マスクを作るために家じゅうのガーゼを集めた。
ガーゼハンカチも、果ては白いポロシャツも、マスクの仕立て布になった。しかし到底、マスクのゴムは手に入らない。100均の伸びる毛糸をつかった。
換気扇のフィルターを縫い付けてみたり、リバーシブルにデザインしたり、試行錯誤のマスク作り。夜中までミシンを使い、保育で関わった親子に配達し続けた。既に200枚以上を作っている。
「ポストに入れとくね~」と各家庭を訪問して玄関ポストに届けるのが、佐藤さん流なのだという。まさに、マスクを買うために並ぶことができない妊婦さんや、小さい子供を育てるママたちを救う、ヒーローだ。
アメリカ人の友達に鼻タカマスクを制作!そこからオリジナルに発展
佐藤さんのこだわりは、立体マスクの「超立体具合」、そして換気フィルターを縫い合わせていること。
佐藤さんが習っている英会話の先生は、アメリカ国籍のアリーサ先生。そもそもマスクをする習慣もなく、「居心地が悪くて好きではない」とマスクの着用を拒んでいた。
佐藤さんは、鼻の高さにあわせて「超立体」に仕立てた布マスクをプレゼントしたという。
アリーサ先生は、「私の鼻にマッチして気持ちが良い!アロマオイルを垂らすとグッドスメルよ!布マスクは気分が良いわ」と話す。
ママが作るマスクより佐藤さんのマスクがいい!
佐藤さんのマスクの特徴は、「居心地よし・デザインよし・感染防止よし」の三方良しだという。
耳が痛くないように、ゴムではなく、紐を使って調整できる。リバーシブルになっており、白マスクには裏面の花柄がうっすら透けて、顔色を良く見せてくれる。
そして、厚地の三枚仕立て。抗菌フィルターが手に入る限りは、布の中に縫い上げたという。洗濯しても丈夫な仕上がりなのだ。
「ママのマスクよりも佐藤さんのマスクがいい!」とはしゃぐ子も多い。
マスクを作り始めて3週間。
ガーゼの布など素材は手に入らないが、佐藤さんの腕は上がる一方。口コミで広がった「マスクを作ってほしい」とのリクエストは、増える一方だという。
今日はマスクインナーを作った。マスクの内側を噛んでしまう子どもたちもこれなら何度も洗って使えるはずだ。
佐藤さんは、ミシンを動かしながら、「次々頼まれるんですよ。よろずや美子だからね」と笑顔で話す。
幼稚園の休業や保育園の時間短縮。
パパママのテレワークや、仕事の減少。
佐藤さんが、次に考えていることは、非常事態宣言で、心と体が窮屈になる子ども達をなんとかして、良い環境で遊ばせること。密を避けて、どこで遊ばせようか考えながら、
まだまだ頼まれているマスクを作り続けている。
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(yoshiko sato)
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山口英里子
SASARU編集長
札幌生まれ札幌育ち。学生時代からリポーターなどテレビ制作に携わる。大学卒業後北海道文化放送に入社し報道記者として北海道の事件事故を取材。入社3年目で夕方帯のニュースキャスターに就き取材を続けながら夕方帯の生放送「スーパーニュース」のスタジオキャスターを務める。 退社後は、メディアリテラシーの講演活動や子ども向けアナウンス教室、雑誌の読者モデルやフリーアナウンサーとして幅広く活動。子ども2人の母親でもある。