2022.8.3

グルメ

「でか!」アメリカンサイズ夏限定アップルパイ…果肉と本物の甘さに驚き【札幌】

創成川イースト カフェ スウィートレディージェーン Sweet Lady Jane アップルパイ

最近いっそう注目が集まっている「創成川イースト」エリア。
このエリアのアイコンのひとつ、アメリカンスタイルのパイやケーキで有名な「スウィートレディージェーン Sweet Lady Jane」。そのアップルパイの迫力とおいしさがずば抜けている! という情報を聞きつけたので、早速行ってきました。

ガイドとしてこの地域をいつも歩いている私には見逃せない情報です。

そして実際にそのアップルパイを食べてみると、どっしりとした風味とりんごの甘さがぎゅっと閉じ込められていて、オーナーシェフ、Ron  H Makoshi (マコシ)さんアメリカとフランス、そして北海道への思いが詰まった逸品でした。

歴史ある創成イースト地区に息づく、名門カフェ。

「スウィートレディージェーン」は、創成イーストの北側エリア、北三条通に面しています。

まずこのカフェが入っているレトロで美しいビル「岩佐ビル」に注目です。このエリアは旧サッポロビール第一工場(サッポロファクトリー)や永山武四郎邸&三菱鉱業寮、そしてこの岩佐ビルなど、開拓使時代からの息吹を感じられるエリアです。

岩佐ビルは札幌景観資産29号にも指定されている建物です。1950年にラムネ工場として建設されました。
千歳鶴、旧サッポロビール第一工場(サッポロファクトリー)、そしてこの岩佐ビルが南北に一直線に並んでいる理由は、豊平川の旧河川跡の上にあるから。今でも豊富な地下水脈があると言われています。
そのきれいな地下水を利用して、日本酒やビール、ラムネが作られたのですね。
創成川イースト カフェ スウィートレディージェーン Sweet Lady Jane アップルパイ

アメリカと北海道が出会う、宝石箱のようなショーケース。

創成川イースト カフェ スウィートレディージェーン Sweet Lady Jane アップルパイ
ショーケースに並んだパイやケーキの、宝石のようなきらめきが圧倒的です。どれも食べてみたい!

店内のデザインもアメリカのどこかのカントリーサイドに、そのままありそうな感じがします。実際に、ここを訪れたアメリカからのご婦人が「こんな素敵で懐かしい空間は、もうアメリカにもほとんどない!」と感嘆されたとのこと。

それもそのはず、マコシさんは1984年から1995年の期間、カルフォルニアに滞在していたのです。東京などで、パティシエとしてフレンチベースを修行した後の渡米でした。

そこでマコシさんは学んできたベースをリスペクトしつつ、アメリカンスタイルを取り入れ活躍し、帰国した後は札幌の創成イーストで、各地の旬の素材にこだわりながらフレンチ=アメリカンスタイルのパイやケーキの発展版を作り続けています。

そのポイントは、「フルーツのおいしさを逃さないように、ジュースごとぎゅっとエキスを閉じ込めたパイ」「デザートというよりは保存食として食べ応えのあるパイやケーキ」などです。

これが、JAZZ(ジャズ)だ!

アップルパイは、このカフェの看板商品のひとつとして、いつも愛されている定番商品です。その時々の国内、時には国外の旬のリンゴを使って、季節の風味を大切にしてパイを焼いています。

今回はJAZZ(ジャズ)という、ニュージーランドから来たりんごを使った、夏季限定バージョンです(8月までの提供予定です)。

ジャズ、とはどんなりんごでしょうか? この音楽にちなんだ名前を持つりんごの正式な品種名は、サイフレッシュ(Scifresh)というのだそうです。小ぶりで果肉は白くコンパクトな味で、煮崩れしにくいそうです。心地よい歯ごたえがありジュースも豊富。そして香りがとても華やか! 甘味だけではなく、酸味も強い品種です。

日本に輸入され店頭に並ぶのは、国内産が品薄になる6月頃から8月の夏場。ちょうど程よい貯蔵期間を経てベストな状態で北海道にやってきます。
創成川イースト カフェ スウィートレディージェーン Sweet Lady Jane アップルパイ

そしてやってきました「アップルパイ ジャズ」!

創成川イースト カフェ スウィートレディージェーン Sweet Lady Jane アップルパイ
一見するとチキンパイか?と見間違えるように、まるでお肉のように厚手のパイ生地の中には、ゴロゴロとしたりんごが豊富に入っています。

さっそく頂きます。まずはパイ部分から。

おお、トップもサイドもボトムも、しっかりカラメル色に焼き上げられたパイ生地の香ばしくて懐かしい香りがたまりませんね。充実の小麦の食感です。意外と甘くありません。

そして主役のりんごは...まず、とてもきれいに透き通っている色調にびっくり。

そして口に含むと、びっくりするくらいの果肉のジューシーさが眠りから目覚めたかというように突然やってきます!まさに白雪姫の目覚めか?という感じで、生のりんご以上にみずみずしい。甘さはとても上品、透明で爽やかな酸味と、迫力ある食感が一気に口の中に広がります。

これは、うまさ炸裂するりんご花火のようです!
マコシさんは工夫に工夫を重ねた結果、通常はかなりの部分を飛ばしてしまうりんごの水分の多くを、果肉に閉じ込める方法を発見しました。そのためジュース(果汁)という旨味が一番強い部分をきっちり残しています。だからこそりんごのみずみずしさと透明感、甘味と酸味がしっかり感じられるのですね。

※こちらの「アップルパイ ジャズ」は1ピース724円(税込)ですが、限定商品のため価格が変更になる可能性もあります。また8月いっぱいの提供を予定していますが、仕入れ状況などにより途中で別なりんごのアップルパイに変更する可能性もあります。

食事としての、充実のパイ。

こちらのお店のパイは、まるで食事のようにフォークとナイフで食べます!
実際に食事としてもじゅうぶん通用するのです。一食分をここで頂くような覚悟で、創成イーストまでお出かけくださいね。

マコシさんが活躍していた頃のアメリカでは、特に農業が発達した地域においてはパイはデザートではなく、労働の合間に手軽に栄養が取れる保存食だったようです。フランス菓子の基礎をリスペクトしながら、そうしたアメリカで見てきた生活感を大切にされているとのこと。
ですので、こちらのパイは、パイ生地をパンの代わりとして栄養源と、そしてりんごをおかずとして食べていただくのが、実はおすすめの食べ方なのだそうです。小麦いっぱいのパイ生地をほおばって食べて満足して欲しいという思いが伝わってきます。

そして下に敷かれたアーモンドクリームの層が、そのリンゴのジュースを吸い込んで、華やかに味変しているのも大きなポイントです。
創成川イースト カフェ スウィートレディージェーン Sweet Lady Jane アップルパイ

「ミルクレープ」もすごいぞ。

創成川イースト カフェ スウィートレディージェーン Sweet Lady Jane アップルパイ
そんなマコシさんのお話を聞くうちに、すでにアップルパイで満腹ではありますが、なんとかがんばってもうひとつ食べてみたくなりました。ショーケースを見ていると、おいしそうな「ミルクレープ」(税込 443円)があります。これも大人気の看板商品だそうです。さっそく頂きましょう!

ミルクレープは実は日本でできたということをご存知でしたか?
おそらくはフランス菓子の大定番、ミルフィーユなどにヒントを得て1970年代頃に東京でできたお菓子のようです。その名の通り、クレープをミル(フランス語で1000枚)という言葉で描写されるように重ね合わせたケーキです。

やってきたミルクレープは、かなりの枚数のクレープが積み重なっていて迫力がありますよ。

フランスの文化と北海道の素材も出会う

最初はザクザクと縦にクレープの層を切り進んで食べていましたが、少しもったいなくなってきて、一枚一枚はがして味わってみることにしました。

クレープの元祖はフランスのブルターニュのガレットです。蕎麦粉を薄く伸ばした薄いパンケーキをベースにしたものですね。素材を蕎麦粉から小麦粉に変えて味付けを工夫したものがクレープなのです。

そしてこちらのクレープ生地の間に挟まれているクリームから、なんとも言えない良いフルーツの香り。

キルシュKirshを使っているとのことです。さくらんぼを使ったフランスのホワイトブランデーの一種で、洋梨のポワールウィリアムなど共に有名ですね。

このキルシュを使ったクリームが、モッチモチの北海道小麦を丹念に焼き上げたクレープにしっとり絡んでいるのです。腰のあるうどんのような歯ごたえの充実感があります。

北海道小麦はコントロールに技量が必要ですが、粘り気、風味など抜群の品質だとのこと。フランスの食文化が北海道の素材と出会った、幸福のマリアージュです。
創成川イースト カフェ スウィートレディージェーン Sweet Lady Jane アップルパイ

他にもたくさんのケーキが。

創成川イースト カフェ スウィートレディージェーン Sweet Lady Jane アップルパイ
ショーケースには、他にも誘惑されるものがたくさん。例えば「フルーツサラダのクラフティ」(443円 税込)。クラフティClafoutisとはもともと、タルト生地ベースの果物入りカスタードプディングのようなお菓子の総称で、フランスのリムーザン地方が発祥です。このお店のお菓子にはフランスのフォーマットにアメリカンドリームが詰まっているような華やかさを感じることができます。

下段の一角にはこれまた人気の「ピーナツバターパイ」(627円 税込)があります。コーティングされたシュガーが添えられたピーナツバターの部分は、甘さが心地良いけどメルティではなく健康的な歯ごたえが印象的。そして本体部分にぎっしりと詰まったナッツは、まるで植物性のあっさりとしたミートパイを食べているような充実感があります。

ということで、実はあまりにもおいしそうだったので、取材の数日後、またそれらを食べに来てしまいました...

創成イーストには、ジャズが似合う。

マコシさんはハーモニカ奏者としても活動されています。(私も世界的マニアックな管楽器奏者としてあちこちで恐れられているのですが笑)音楽談義にも花が咲きました。

とその時、素敵なインテリアも兼ねているピアノコーナーの上に、ちょこんとコルネット巻きをしたトランペットを発見。
ちょっとジャズの1フレーズを吹かせてもらいましたが、いやあ気持ち良い!この堅牢な建物とこの界隈には、ピッタリと音楽がマッチするようです。トランペットの硬質な音が、通りを囲む石造りの壁や道路にエコーがかかるのが分かります。

音楽としてのジャズの起源は、アメリカ南部のルイジアナです。
カナダにいたフランス系住民「アカディア」(ケベックとはまた別です)が迫害され、やがてなまって「ケイジャン」と呼ばれるようになってルイジアナ(ルイ王朝のもの、という意味)に流れ着きました。その文化を吸い込んだ地元のアフリカ人たちが作った音楽がジャズ。いろいろな文化の出会いの結果の素晴らしい音楽なのですね。

そしてこの創成イーストも色々な文化の交差点。カフェや音楽の似合う空気感を大切にしていきたいな、とライターとしても、ガイドとしても改めて思いました。
創成川イースト カフェ スウィートレディージェーン Sweet Lady Jane アップルパイ

さわやかな風を感じて、夏のアップルパイを楽しもう。

創成川イースト カフェ スウィートレディージェーン Sweet Lady Jane アップルパイ
こちらのカフェは店舗空間もアメリカンサイズで広めですし、基本的に夏の間はテラス感覚で開放してしますので、ソーシャルディスタンスは確保できます。
ぜひ「アップルパイ ジャズ」がある8月のうちに、素敵な風を感じながら、ここでゆっくりしてみませんか??
(ライター:大山幸彦)

Sweet Lady Jane(スウィートレディージェーン)
住所:札幌市中央区北3条東5丁目5 岩佐ビル1階
電話: 011-219-0900
営業時間:日曜日は午前10時〜午後7時
               他の曜日は午前10時〜午後8時
定休日:なし
Instagram:@ladyjane0305
(Instagramに掲載しているのは、主にオーダーケーキについてです。その他お問い合わせはお電話にて)

(上記の情報は記事作成時点でのものです。最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください)

歴史ある創成イースト地区に息づく、名門カフェ。

創成川イースト カフェ スウィートレディージェーン Sweet Lady Jane アップルパイ
「スウィートレディージェーン」は、創成イーストの北側エリア、北三条通に面しています。

まずこのカフェが入っているレトロで美しいビル「岩佐ビル」に注目です。このエリアは旧サッポロビール第一工場(サッポロファクトリー)や永山武四郎邸&三菱鉱業寮、そしてこの岩佐ビルなど、開拓使時代からの息吹を感じられるエリアです。

岩佐ビルは札幌景観資産29号にも指定されている建物です。1950年にラムネ工場として建設されました。
千歳鶴、旧サッポロビール第一工場(サッポロファクトリー)、そしてこの岩佐ビルが南北に一直線に並んでいる理由は、豊平川の旧河川跡の上にあるから。今でも豊富な地下水脈があると言われています。
そのきれいな地下水を利用して、日本酒やビール、ラムネが作られたのですね。

アメリカと北海道が出会う、宝石箱のようなショーケース。

創成川イースト カフェ スウィートレディージェーン Sweet Lady Jane アップルパイ
ショーケースに並んだパイやケーキの、宝石のようなきらめきが圧倒的です。どれも食べてみたい!

店内のデザインもアメリカのどこかのカントリーサイドに、そのままありそうな感じがします。実際に、ここを訪れたアメリカからのご婦人が「こんな素敵で懐かしい空間は、もうアメリカにもほとんどない!」と感嘆されたとのこと。

それもそのはず、マコシさんは1984年から1995年の期間、カルフォルニアに滞在していたのです。東京などで、パティシエとしてフレンチベースを修行した後の渡米でした。

そこでマコシさんは学んできたベースをリスペクトしつつ、アメリカンスタイルを取り入れ活躍し、帰国した後は札幌の創成イーストで、各地の旬の素材にこだわりながらフレンチ=アメリカンスタイルのパイやケーキの発展版を作り続けています。

そのポイントは、「フルーツのおいしさを逃さないように、ジュースごとぎゅっとエキスを閉じ込めたパイ」「デザートというよりは保存食として食べ応えのあるパイやケーキ」などです。

これが、JAZZ(ジャズ)だ!

創成川イースト カフェ スウィートレディージェーン Sweet Lady Jane アップルパイ
アップルパイは、このカフェの看板商品のひとつとして、いつも愛されている定番商品です。その時々の国内、時には国外の旬のリンゴを使って、季節の風味を大切にしてパイを焼いています。

今回はJAZZ(ジャズ)という、ニュージーランドから来たりんごを使った、夏季限定バージョンです(8月までの提供予定です)。

ジャズ、とはどんなりんごでしょうか? この音楽にちなんだ名前を持つりんごの正式な品種名は、サイフレッシュ(Scifresh)というのだそうです。小ぶりで果肉は白くコンパクトな味で、煮崩れしにくいそうです。心地よい歯ごたえがありジュースも豊富。そして香りがとても華やか! 甘味だけではなく、酸味も強い品種です。

日本に輸入され店頭に並ぶのは、国内産が品薄になる6月頃から8月の夏場。ちょうど程よい貯蔵期間を経てベストな状態で北海道にやってきます。

そしてやってきました「アップルパイ ジャズ」!

創成川イースト カフェ スウィートレディージェーン Sweet Lady Jane アップルパイ
一見するとチキンパイか?と見間違えるように、まるでお肉のように厚手のパイ生地の中には、ゴロゴロとしたりんごが豊富に入っています。

さっそく頂きます。まずはパイ部分から。

おお、トップもサイドもボトムも、しっかりカラメル色に焼き上げられたパイ生地の香ばしくて懐かしい香りがたまりませんね。充実の小麦の食感です。意外と甘くありません。

そして主役のりんごは...まず、とてもきれいに透き通っている色調にびっくり。

そして口に含むと、びっくりするくらいの果肉のジューシーさが眠りから目覚めたかというように突然やってきます!まさに白雪姫の目覚めか?という感じで、生のりんご以上にみずみずしい。甘さはとても上品、透明で爽やかな酸味と、迫力ある食感が一気に口の中に広がります。

これは、うまさ炸裂するりんご花火のようです!
マコシさんは工夫に工夫を重ねた結果、通常はかなりの部分を飛ばしてしまうりんごの水分の多くを、果肉に閉じ込める方法を発見しました。そのためジュース(果汁)という旨味が一番強い部分をきっちり残しています。だからこそりんごのみずみずしさと透明感、甘味と酸味がしっかり感じられるのですね。

※こちらの「アップルパイ ジャズ」は1ピース724円(税込)ですが、限定商品のため価格が変更になる可能性もあります。また8月いっぱいの提供を予定していますが、仕入れ状況などにより途中で別なりんごのアップルパイに変更する可能性もあります。

食事としての、充実のパイ。

創成川イースト カフェ スウィートレディージェーン Sweet Lady Jane アップルパイ
こちらのお店のパイは、まるで食事のようにフォークとナイフで食べます!
実際に食事としてもじゅうぶん通用するのです。一食分をここで頂くような覚悟で、創成イーストまでお出かけくださいね。

マコシさんが活躍していた頃のアメリカでは、特に農業が発達した地域においてはパイはデザートではなく、労働の合間に手軽に栄養が取れる保存食だったようです。フランス菓子の基礎をリスペクトしながら、そうしたアメリカで見てきた生活感を大切にされているとのこと。
ですので、こちらのパイは、パイ生地をパンの代わりとして栄養源と、そしてりんごをおかずとして食べていただくのが、実はおすすめの食べ方なのだそうです。小麦いっぱいのパイ生地をほおばって食べて満足して欲しいという思いが伝わってきます。

そして下に敷かれたアーモンドクリームの層が、そのリンゴのジュースを吸い込んで、華やかに味変しているのも大きなポイントです。

「ミルクレープ」もすごいぞ。

創成川イースト カフェ スウィートレディージェーン Sweet Lady Jane アップルパイ
そんなマコシさんのお話を聞くうちに、すでにアップルパイで満腹ではありますが、なんとかがんばってもうひとつ食べてみたくなりました。ショーケースを見ていると、おいしそうな「ミルクレープ」(税込 443円)があります。これも大人気の看板商品だそうです。さっそく頂きましょう!

ミルクレープは実は日本でできたということをご存知でしたか?
おそらくはフランス菓子の大定番、ミルフィーユなどにヒントを得て1970年代頃に東京でできたお菓子のようです。その名の通り、クレープをミル(フランス語で1000枚)という言葉で描写されるように重ね合わせたケーキです。

やってきたミルクレープは、かなりの枚数のクレープが積み重なっていて迫力がありますよ。

フランスの文化と北海道の素材も出会う

創成川イースト カフェ スウィートレディージェーン Sweet Lady Jane アップルパイ
最初はザクザクと縦にクレープの層を切り進んで食べていましたが、少しもったいなくなってきて、一枚一枚はがして味わってみることにしました。

クレープの元祖はフランスのブルターニュのガレットです。蕎麦粉を薄く伸ばした薄いパンケーキをベースにしたものですね。素材を蕎麦粉から小麦粉に変えて味付けを工夫したものがクレープなのです。

そしてこちらのクレープ生地の間に挟まれているクリームから、なんとも言えない良いフルーツの香り。

キルシュKirshを使っているとのことです。さくらんぼを使ったフランスのホワイトブランデーの一種で、洋梨のポワールウィリアムなど共に有名ですね。

このキルシュを使ったクリームが、モッチモチの北海道小麦を丹念に焼き上げたクレープにしっとり絡んでいるのです。腰のあるうどんのような歯ごたえの充実感があります。

北海道小麦はコントロールに技量が必要ですが、粘り気、風味など抜群の品質だとのこと。フランスの食文化が北海道の素材と出会った、幸福のマリアージュです。

他にもたくさんのケーキが。

創成川イースト カフェ スウィートレディージェーン Sweet Lady Jane アップルパイ
ショーケースには、他にも誘惑されるものがたくさん。例えば「フルーツサラダのクラフティ」(443円 税込)。クラフティClafoutisとはもともと、タルト生地ベースの果物入りカスタードプディングのようなお菓子の総称で、フランスのリムーザン地方が発祥です。このお店のお菓子にはフランスのフォーマットにアメリカンドリームが詰まっているような華やかさを感じることができます。

下段の一角にはこれまた人気の「ピーナツバターパイ」(627円 税込)があります。コーティングされたシュガーが添えられたピーナツバターの部分は、甘さが心地良いけどメルティではなく健康的な歯ごたえが印象的。そして本体部分にぎっしりと詰まったナッツは、まるで植物性のあっさりとしたミートパイを食べているような充実感があります。

ということで、実はあまりにもおいしそうだったので、取材の数日後、またそれらを食べに来てしまいました...

創成イーストには、ジャズが似合う。

創成川イースト カフェ スウィートレディージェーン Sweet Lady Jane アップルパイ
マコシさんはハーモニカ奏者としても活動されています。(私も世界的マニアックな管楽器奏者としてあちこちで恐れられているのですが笑)音楽談義にも花が咲きました。

とその時、素敵なインテリアも兼ねているピアノコーナーの上に、ちょこんとコルネット巻きをしたトランペットを発見。
ちょっとジャズの1フレーズを吹かせてもらいましたが、いやあ気持ち良い!この堅牢な建物とこの界隈には、ピッタリと音楽がマッチするようです。トランペットの硬質な音が、通りを囲む石造りの壁や道路にエコーがかかるのが分かります。

音楽としてのジャズの起源は、アメリカ南部のルイジアナです。
カナダにいたフランス系住民「アカディア」(ケベックとはまた別です)が迫害され、やがてなまって「ケイジャン」と呼ばれるようになってルイジアナ(ルイ王朝のもの、という意味)に流れ着きました。その文化を吸い込んだ地元のアフリカ人たちが作った音楽がジャズ。いろいろな文化の出会いの結果の素晴らしい音楽なのですね。

そしてこの創成イーストも色々な文化の交差点。カフェや音楽の似合う空気感を大切にしていきたいな、とライターとしても、ガイドとしても改めて思いました。

さわやかな風を感じて、夏のアップルパイを楽しもう。

創成川イースト カフェ スウィートレディージェーン Sweet Lady Jane アップルパイ
こちらのカフェは店舗空間もアメリカンサイズで広めですし、基本的に夏の間はテラス感覚で開放してしますので、ソーシャルディスタンスは確保できます。
ぜひ「アップルパイ ジャズ」がある8月のうちに、素敵な風を感じながら、ここでゆっくりしてみませんか??
(ライター:大山幸彦)

Sweet Lady Jane(スウィートレディージェーン)
住所:札幌市中央区北3条東5丁目5 岩佐ビル1階
電話: 011-219-0900
営業時間:日曜日は午前10時〜午後7時
               他の曜日は午前10時〜午後8時
定休日:なし
Instagram:@ladyjane0305
(Instagramに掲載しているのは、主にオーダーケーキについてです。その他お問い合わせはお電話にて)

(上記の情報は記事作成時点でのものです。最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください)

2019年初夏に誕生した「SASARU」編集部では北海道民や北海道外に住む道産子、北海道が大好きな方…多くの人の心に刺さる北海道の話題や、つい押ささってしまう情報を集めています。編集部では、読んでくれる皆さんの日常生活に「SASARU」が染み入るように、日々企画を考え取材をしています。 読まさる記事、見ささる記事が、皆さんの心にささりますように。

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