2025.6.18

おでかけ / 札幌

ススキノ地区で清々しいイベント!お寺で開かれるマルシェ「ひがほん暮らしの朝市」【札幌】

 お寺の広い境内で焼き菓子や雑貨などの店が並ぶ「ひがほん暮らしの朝市」が、6月から始まりました。
 札幌市中央区の東本願寺札幌別院で6月8日に初めて開催され、今後も11月まで月2回の日程で定期的に開かれます。

 飲食や手作り雑貨などの店が集まる“マルシェ”のイベントはいろいろな場所で行われていますが、お寺での開催はほかのマルシェと何か違うのでしょうか?
初回の様子をのぞいてみました。

お寺ならではの落ち着いた雰囲気


歴史を感じさせる山門

 東本願寺札幌別院は、ススキノの近くにありながら、約3万平方メートルという広々とした敷地を有しています。山門をくぐると、背の高い樹木が想像以上に多く、芝生の緑もきれいです。

 爽やかな初夏の陽気に加え、本堂や鐘楼がどことなく厳かですがすがしい雰囲気も醸し出します。
 真正面の本堂へ続く参道に、焼き菓子やコーヒー、雑貨などを扱う16店が並んでいて、訪れた人たちはのんびりと歩きながら、気になるお店に立ち寄っていきます。
 木工クラフトや、オーガニック食品などを販売していたのは「小山内商店」。
北海道産のカラマツやシラカバで作られたカッティングボードや、サクラやニセアカシアなどを美しく加工した丸太などを取り扱っています。

 小山内祐介代表は「都会なのに、境内へ一歩入ると緑が多くて別世界。お寺ということもあって“良い気”が流れているように感じます」と、居心地が良さそうです。

カレー、ピザなどずらり…「羊肉まん」も

 スパイスカレーのキッチンカーや、ナポリピッツァ、サンドイッチなどのお店もあり、おなかも満たせます。

 筆者も取材の合間に「羊肉まん」を買いました。北海道後志地方の積丹町にある「積丹しおかぜ羊牧場」で育てられた羊の肉を具材に使っています。

蒸したての羊肉まんを販売するお店


大ぶりで食べ応えのある羊肉まん

 手に持つと、全体的に大ぶりでずっしり。
ホカホカの皮はほんのりと甘く、中にはゴロゴロと大きめにカットした羊肉が入っていて、うま味をしっかりと感じ、食べ応えがありました。
 境内にはいすが並べられ、自由に座って休んだり、買った物を食べたりできます。

誰でも出店しやすく、立ち寄りやすい


赤ちゃんを連れて出店した竹内さん

 後志地方の余市町から出店していた焼き菓子店「Kurumi no ki」。手作りのマフィンやスコーン、カヌレなどを販売しています。

 オーナーの竹内胡桃さん(29)は、約200点の商品を準備し、生後6カ月の赤ちゃんを連れての出店です。赤ちゃんを連れてのお仕事は大変そうですが…。
 聞いてみると、この朝市に出店した理由の一つが、開催時間が午前10時〜午後2時の4時間と、ほかのマルシェに比べて短いことだったそう。

 この日は竹内さんのお母さんが子守も兼ねて一緒に参加しましたが、「母が来られない時は子どもを抱っこしながら接客することもあって大変。開催時間が短く設定されていると、子どもを連れてでも参加しやすくて助かります」と竹内さん。
 「この朝市には、月1回は参加したいです」と意欲的です。

「Kurumi no ki」で購入したカヌレ。外が程良くカリッと、中がコク深くてしっとり


飯尾代表(左から2人目)と実行委員会のメンバーら

 この朝市を運営するのは、「暮らしの市実行委員会」という団体です。愛知県の複数の寺院の境内で同様の朝市を開いています。

 飯尾うらら代表によると、お寺で開催する大きな利点は、「一般的なマルシェに比べ、半公共的な側面のあるお寺には年齢や性別を問わず、多種多様な人が集まる」ということです。
 確かに、ゆったりと散策する高齢者、わいわいと楽しそうな家族連れ、一人でじっくりと見て回る人など、いろいろな人がお寺の空間に違和感なく溶け込んでいるようです。

出店者にとっては、自分の店をより幅広い層の人たちに知ってもらえるチャンスになります。

買い物だけでなく、お参りする人も

 寺院側は「お寺のことをより多くの人に知ってもらうきっかけになる」と期待しています。狙い通り、朝市を訪れた人の中には、本堂へ入って参拝する姿も見受けられました。

 その一人、札幌市に住む派遣社員の小笠原正子さん(57)は「ススキノに近いお寺なので、普段はなかなか足を踏み入れる機会がなかったけれど、この朝市に来たついでに、本堂にも寄ってみました。古くて立派なお寺ですね」と感心した様子。

建立から100年以上経つ大きな本堂の前に、キッチンカーが出店


本堂を背に立つと、山門からビルなどが建つ街並みが見えます

 小笠原さんは、京都の寺院で開かれている手作り市にも北海道からわざわざ訪れるほど、お寺での市を楽しみにしているのだそう。

今回のひがほん暮らしの朝市では16店のうち13店が飲食関連の店だったこともあり、「今後は雑貨のお店がもう少し増えてくれるとうれしいですね」と話していました。
 飯尾代表は「この朝市は始まったばかり。単に物を売り買いする一過性のイベントではなく、集まった人がつながりを持つことができ、地元に根付く朝市になれるよう、これからじっくりと育てていきたい」と話します。

おかずを具材に詰めた「おやき」を販売するお店

 広い境内では約70店舗の出店が可能。今後はより多くの出店者を募っていきます。
寺の境内を使うことで、出店料を他のマルシェイベントより抑えることができるという利点もあるそう。

開催時間を短く設定することで、竹内さんのような子育て中の人が参加しやすかったり、新しく商売を始めたい人がトライアルとして出店しやすいのも特徴です。

次回は6月22日午前10時から

 ひがほん暮らしの朝市は、11月までの毎月8日と第4日曜の月2回、それぞれ午前10時〜午後2時に開催されます。

 次回は6月22日です。日曜の朝、散歩がてらにのぞいてみませんか。境内でひと休みするだけでも、リフレッシュできますよ。
 参加店舗はインスタグラムで確認を。
ひがほん暮らしの朝市
開催場所:札幌市中央区南7条西8丁目290、東本願寺札幌別院
開催日時:毎月8日と第4日曜、午前10時〜午後2時(本年の最終開催日は11月23日)
インスタグラム:@higahon_sapporo
東本願寺札幌別院ホームページ:https://ohigashi-sapporo.jp/

(上記の情報は記事作成時点でのものです。
最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください)

お寺ならではの落ち着いた雰囲気


歴史を感じさせる山門

 東本願寺札幌別院は、ススキノの近くにありながら、約3万平方メートルという広々とした敷地を有しています。山門をくぐると、背の高い樹木が想像以上に多く、芝生の緑もきれいです。

 爽やかな初夏の陽気に加え、本堂や鐘楼がどことなく厳かですがすがしい雰囲気も醸し出します。
 真正面の本堂へ続く参道に、焼き菓子やコーヒー、雑貨などを扱う16店が並んでいて、訪れた人たちはのんびりと歩きながら、気になるお店に立ち寄っていきます。
 木工クラフトや、オーガニック食品などを販売していたのは「小山内商店」。
北海道産のカラマツやシラカバで作られたカッティングボードや、サクラやニセアカシアなどを美しく加工した丸太などを取り扱っています。

 小山内祐介代表は「都会なのに、境内へ一歩入ると緑が多くて別世界。お寺ということもあって“良い気”が流れているように感じます」と、居心地が良さそうです。

カレー、ピザなどずらり…「羊肉まん」も


蒸したての羊肉まんを販売するお店

 スパイスカレーのキッチンカーや、ナポリピッツァ、サンドイッチなどのお店もあり、おなかも満たせます。

 筆者も取材の合間に「羊肉まん」を買いました。北海道後志地方の積丹町にある「積丹しおかぜ羊牧場」で育てられた羊の肉を具材に使っています。

大ぶりで食べ応えのある羊肉まん

 手に持つと、全体的に大ぶりでずっしり。
ホカホカの皮はほんのりと甘く、中にはゴロゴロと大きめにカットした羊肉が入っていて、うま味をしっかりと感じ、食べ応えがありました。
 境内にはいすが並べられ、自由に座って休んだり、買った物を食べたりできます。

誰でも出店しやすく、立ち寄りやすい


赤ちゃんを連れて出店した竹内さん

 後志地方の余市町から出店していた焼き菓子店「Kurumi no ki」。手作りのマフィンやスコーン、カヌレなどを販売しています。

 オーナーの竹内胡桃さん(29)は、約200点の商品を準備し、生後6カ月の赤ちゃんを連れての出店です。赤ちゃんを連れてのお仕事は大変そうですが…。

「Kurumi no ki」で購入したカヌレ。外が程良くカリッと、中がコク深くてしっとり

 聞いてみると、この朝市に出店した理由の一つが、開催時間が午前10時〜午後2時の4時間と、ほかのマルシェに比べて短いことだったそう。

 この日は竹内さんのお母さんが子守も兼ねて一緒に参加しましたが、「母が来られない時は子どもを抱っこしながら接客することもあって大変。開催時間が短く設定されていると、子どもを連れてでも参加しやすくて助かります」と竹内さん。
 「この朝市には、月1回は参加したいです」と意欲的です。

飯尾代表(左から2人目)と実行委員会のメンバーら

 この朝市を運営するのは、「暮らしの市実行委員会」という団体です。愛知県の複数の寺院の境内で同様の朝市を開いています。

 飯尾うらら代表によると、お寺で開催する大きな利点は、「一般的なマルシェに比べ、半公共的な側面のあるお寺には年齢や性別を問わず、多種多様な人が集まる」ということです。
 確かに、ゆったりと散策する高齢者、わいわいと楽しそうな家族連れ、一人でじっくりと見て回る人など、いろいろな人がお寺の空間に違和感なく溶け込んでいるようです。

出店者にとっては、自分の店をより幅広い層の人たちに知ってもらえるチャンスになります。

買い物だけでなく、お参りする人も


建立から100年以上経つ大きな本堂の前に、キッチンカーが出店

 寺院側は「お寺のことをより多くの人に知ってもらうきっかけになる」と期待しています。狙い通り、朝市を訪れた人の中には、本堂へ入って参拝する姿も見受けられました。

 その一人、札幌市に住む派遣社員の小笠原正子さん(57)は「ススキノに近いお寺なので、普段はなかなか足を踏み入れる機会がなかったけれど、この朝市に来たついでに、本堂にも寄ってみました。古くて立派なお寺ですね」と感心した様子。

本堂を背に立つと、山門からビルなどが建つ街並みが見えます

 小笠原さんは、京都の寺院で開かれている手作り市にも北海道からわざわざ訪れるほど、お寺での市を楽しみにしているのだそう。

今回のひがほん暮らしの朝市では16店のうち13店が飲食関連の店だったこともあり、「今後は雑貨のお店がもう少し増えてくれるとうれしいですね」と話していました。

おかずを具材に詰めた「おやき」を販売するお店

 飯尾代表は「この朝市は始まったばかり。単に物を売り買いする一過性のイベントではなく、集まった人がつながりを持つことができ、地元に根付く朝市になれるよう、これからじっくりと育てていきたい」と話します。
 広い境内では約70店舗の出店が可能。今後はより多くの出店者を募っていきます。
寺の境内を使うことで、出店料を他のマルシェイベントより抑えることができるという利点もあるそう。

開催時間を短く設定することで、竹内さんのような子育て中の人が参加しやすかったり、新しく商売を始めたい人がトライアルとして出店しやすいのも特徴です。

次回は6月22日午前10時から

 ひがほん暮らしの朝市は、11月までの毎月8日と第4日曜の月2回、それぞれ午前10時〜午後2時に開催されます。

 次回は6月22日です。日曜の朝、散歩がてらにのぞいてみませんか。境内でひと休みするだけでも、リフレッシュできますよ。
 参加店舗はインスタグラムで確認を。
ひがほん暮らしの朝市
開催場所:札幌市中央区南7条西8丁目290、東本願寺札幌別院
開催日時:毎月8日と第4日曜、午前10時〜午後2時(本年の最終開催日は11月23日)
インスタグラム:@higahon_sapporo
東本願寺札幌別院ホームページ:https://ohigashi-sapporo.jp/

(上記の情報は記事作成時点でのものです。
最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください)

大矢理恵

ライター

北海道新聞の元記者です。13年間、札幌や室蘭、釧路で勤務。現在は「北海道新聞デ ジタル」や地域情報紙「さっぽろ10区(トーク)」、WEBサイト「Trip Eat 北海道」 にも執筆しています。硬軟問わず、あらゆる話題を取材します! クジラ大好き歴30 年超。国内外でのホエールウオッチングのほか、タヒチでホエールスイミングも体験 。夢はメキシコでシロナガスクジラを見ること。旭川出身、札幌在住。

Official SNS 公式SNS

フォローして最新情報を受け取る