2021.8.5

ライフスタイル

司法書士に訊く!特に「婚前契約書」を作ることをオススメする婚姻関係って?

婚姻とひとことで言っても、入籍するだけではなく、そのカタチは、時代の進化とともに多様化しています。なかでも、これから挙げる婚姻関係を結ぶ場合、特に「婚前契約書」の作成がオススメ!具体例を、わかりやすくご紹介します。

どちらか一方に離婚歴がある場合!


北海道の離婚率は全国第3位の2.29%と、以前の記事でご紹介しました。私の友人でもご主人に離婚歴がある方は珍しくありません。この場合、問題になりやすいのは、子どもがいる場合です。

もちろん離婚したとはいっても自分たちの子ども。かわいくて仕方がないと思いますし、理解もできますよね。では、子どもに会うとき、子どもと二人で会うのか、前妻が同席するのか。どれくらいの頻度で会っているのか。養育費や教育費はどうしているのか…。
なかなか聞きにくいことだと思いますが、知っておかねばならないことでもあります。大学の入学金や学費がかかる!なんて急に知らされたらびっくりしちゃいますよね。
それともう一つ。相続の問題です。人間いつ死ぬかわかりません。夫が亡くなった時、前妻との子どもにも連絡をしなければなりません。子どもが未成年の場合、前妻の連絡先は知っていますか?

 財産の相続問題が出た場合、前妻の子どもと話し合いができますか?というより、したいですか?それなら話し合いをしなくて済むように、遺言書を遺してもらいたいですよね。
このような話は「婚前契約書」を交わさなくてもいいのですが、揉め事の一つになり得るので話し合っておいてほしいことです。話が出しにくければ「婚前契約書」を話し合うきっかけの一つにしてくださいね。

「入籍」にこだわらない「事実婚」の場合!


最近では入籍にこだわらない結婚、「事実婚」という言葉を聞くことが増えてきました。これって実は、日本ではマイナーですが、ヨーロッパでは入籍する方が珍しいんです。そのため、ヨーロッパの事実婚は、日本の入籍する結婚と同じくらい権利が認められているんですね。しかし日本ではまだまだマイナーな事実婚。入籍する婚姻とは権利がまったく違うんです。
まず、事実婚の配偶者は、「法定相続人」ではありません。当たり前に相続権が認められていないんですね。つまり配偶者が亡くなった時に遺言書がなければ何も相続することができません。

離婚の際の財産分与は認められています。しかし「事実上の婚姻関係にあったこと」を証明することが必要です。大体の基準としては「3年以上同居していて生計を共にしていること」ですが、定義があるわけではないので各夫婦の生活状況によって判断されます。
それと当たり前なのですが、苗字は変わりません。子どもが生まれたときにはどちらかの苗字を選ぶ必要があります。ではそのときに、入籍をする法律婚に移行するのか、しないのかなど、事実婚に関しては法律婚では「当たり前」なことが全く該当しないので、注意が必要です。

ただし、メリット、デメリットは各夫婦によって違います。事実婚だから面倒が多いというわけでもありません。本当に事実婚がいいのか?法律婚がいいのか?見つめ直すためにも「婚前契約書」を作ってほしいです。

入籍ができない婚姻


近年、さまざまなメディアで取り上げられている性の多様化。札幌でも「パートナーシップ宣誓書」が発行されるようになりましたね。現在の法律では、同性同士では結婚という形の入籍はできません。こういったものが自治体から発行される前は「養子縁組」という形で入籍している方々もいたようです。
しかしこの「パートナーシップ宣誓書」は、何ら法的効力も有しません。では何のためにこの宣誓をするのでしょうか?

法律はなかなか変わりませんが、民間の会社はこういった動きに敏感です。例えば生命保険会社です。生命保険の受取人は3等親以内の親族に限られていましたが、最近では異性もしくは同性の事実婚状態にある配偶者も受取人に指定できます。指定するのに条件はあるようですが、「パートナーシップ宣誓書」があれば認められるでしょう。

異性同士の事実婚と同性同士の事実婚は、権利という点でさほど変わりません。しかし離婚の際の財産分与や年金受給権など、異性同士の事実婚で認められていることも同性同士であれば認められていないということもあります。
自分たちにどのような権利があって、どのような権利がないのか。認められていない部分についてはどのように補っていくのか…。

それをきちんと話し合うためにも、同性婚こそ、婚前契約書は必要ではないでしょうか。

(司法書士 大西千桜里)

*2019.7.2 公開

どちらか一方に離婚歴がある場合!


北海道の離婚率は全国第3位の2.29%と、以前の記事でご紹介しました。私の友人でもご主人に離婚歴がある方は珍しくありません。この場合、問題になりやすいのは、子どもがいる場合です。

もちろん離婚したとはいっても自分たちの子ども。かわいくて仕方がないと思いますし、理解もできますよね。では、子どもに会うとき、子どもと二人で会うのか、前妻が同席するのか。どれくらいの頻度で会っているのか。養育費や教育費はどうしているのか…。
なかなか聞きにくいことだと思いますが、知っておかねばならないことでもあります。大学の入学金や学費がかかる!なんて急に知らされたらびっくりしちゃいますよね。
それともう一つ。相続の問題です。人間いつ死ぬかわかりません。夫が亡くなった時、前妻との子どもにも連絡をしなければなりません。子どもが未成年の場合、前妻の連絡先は知っていますか?

 財産の相続問題が出た場合、前妻の子どもと話し合いができますか?というより、したいですか?それなら話し合いをしなくて済むように、遺言書を遺してもらいたいですよね。
このような話は「婚前契約書」を交わさなくてもいいのですが、揉め事の一つになり得るので話し合っておいてほしいことです。話が出しにくければ「婚前契約書」を話し合うきっかけの一つにしてくださいね。

「入籍」にこだわらない「事実婚」の場合!


最近では入籍にこだわらない結婚、「事実婚」という言葉を聞くことが増えてきました。これって実は、日本ではマイナーですが、ヨーロッパでは入籍する方が珍しいんです。そのため、ヨーロッパの事実婚は、日本の入籍する結婚と同じくらい権利が認められているんですね。しかし日本ではまだまだマイナーな事実婚。入籍する婚姻とは権利がまったく違うんです。
まず、事実婚の配偶者は、「法定相続人」ではありません。当たり前に相続権が認められていないんですね。つまり配偶者が亡くなった時に遺言書がなければ何も相続することができません。

離婚の際の財産分与は認められています。しかし「事実上の婚姻関係にあったこと」を証明することが必要です。大体の基準としては「3年以上同居していて生計を共にしていること」ですが、定義があるわけではないので各夫婦の生活状況によって判断されます。
それと当たり前なのですが、苗字は変わりません。子どもが生まれたときにはどちらかの苗字を選ぶ必要があります。ではそのときに、入籍をする法律婚に移行するのか、しないのかなど、事実婚に関しては法律婚では「当たり前」なことが全く該当しないので、注意が必要です。

ただし、メリット、デメリットは各夫婦によって違います。事実婚だから面倒が多いというわけでもありません。本当に事実婚がいいのか?法律婚がいいのか?見つめ直すためにも「婚前契約書」を作ってほしいです。

入籍ができない婚姻


近年、さまざまなメディアで取り上げられている性の多様化。札幌でも「パートナーシップ宣誓書」が発行されるようになりましたね。現在の法律では、同性同士では結婚という形の入籍はできません。こういったものが自治体から発行される前は「養子縁組」という形で入籍している方々もいたようです。
しかしこの「パートナーシップ宣誓書」は、何ら法的効力も有しません。では何のためにこの宣誓をするのでしょうか?

法律はなかなか変わりませんが、民間の会社はこういった動きに敏感です。例えば生命保険会社です。生命保険の受取人は3等親以内の親族に限られていましたが、最近では異性もしくは同性の事実婚状態にある配偶者も受取人に指定できます。指定するのに条件はあるようですが、「パートナーシップ宣誓書」があれば認められるでしょう。

異性同士の事実婚と同性同士の事実婚は、権利という点でさほど変わりません。しかし離婚の際の財産分与や年金受給権など、異性同士の事実婚で認められていることも同性同士であれば認められていないということもあります。
自分たちにどのような権利があって、どのような権利がないのか。認められていない部分についてはどのように補っていくのか…。

それをきちんと話し合うためにも、同性婚こそ、婚前契約書は必要ではないでしょうか。

(司法書士 大西千桜里)

*2019.7.2 公開

2019年初夏に誕生した「SASARU」編集部では北海道民や北海道外に住む道産子、北海道が大好きな方…多くの人の心に刺さる北海道の話題や、つい押ささってしまう情報を集めています。編集部では、読んでくれる皆さんの日常生活に「SASARU」が染み入るように、日々企画を考え取材をしています。 読まさる記事、見ささる記事が、皆さんの心にささりますように。

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