ワイン片手にパンはいかが? こだわりの石窯で焼く「咀嚼を楽しむパン」

石狩平野が広がり、酪農や農業で盛んな食材の宝庫、美唄市にあるお店「カフェ ストウブ」。窓に広がるのどかな放牧地を眺めながら、こだわりのパンやサンドイッチを頂ける、地元のみならず遠方からもファンが集まるカフェの魅力に迫ります。

2019.9.11

ツルンとしたのどごしを求めて…。 石窯から材料にまでとことんこだわり、咀嚼がその味を引き出す。

「外はパリッ・中はふわふわでしっとり」
 
道内はもちろん、本州からもこの食感のパンを求めてお客さんが訪れるのが、美唄市にある「カフェ ストウブ」。このお店でパンを作っているのは、東京の大手ベーカリーやパン屋さんで腕を磨いてきた、ご主人の石井賢(すぐる)(33)さんです。

石井さん:「“ツルン”としたのどごし、パンの皮の部分に一番おいしさがあると思っているんです。皮をしっかり焼きこんで、そのギャップを楽しんでほしいですね」
 
「実はお米のほうが好き」という石井さん。パンは“パサパサする”イメージがあったそうで、自分が作るものは“のどごしのいい”ものを作りたいと思ったそう。そんな石井さんだからこそ、こだわっているのが「ストウブ」という店名の由来にもなっている、厨房の奥にある特製の石窯。

「ツルン」とした食感を生み出す上で欠かせないんです。焼けた薪を取り出し、石に蓄えた余熱で焼いていくことで、水分のぬけが少なく、外側もしっかり焼けるのが特徴。
 
そんな石窯で焼いたときに最も効果が出るのが、全粒粉を50%使用した大きなパン。

石井さん:「その日の火加減で焼き具合も違うし、温度が下がっていく窯の余熱を計算して、温度に適したパンを焼いています」
 
窯に入れるタイミングの見極めが大切と話してくれた石井さん。通常のオーブンでは、中の水分量にばらつきがでてしまうんですが、この石窯で焼くことで、大きいサイズのパンでも均一に水分を残したまま、ふわふわとした食感と小麦の味が楽しめるんだそうですよ。
 
さらに、パンの味のベースとなる小麦粉にも「地元の味」を生かしたこだわりが。

石井さん:「美唄の小麦【春よこい】を玄麦で仕入れて、必要な分だけ製粉しています。使う分だけ石臼するのが風味やおいしさの秘訣。ブレンドしながら使っています」
 
そんな石井さんが考える、パンの楽しみ方とは…?
 
石井さん:「咀嚼が大事だと思っています。皮に厚みを出して、咀嚼しながらだ液と混ざって粉のうまみが出てくる…。そういうのを楽しんでほしいですね」
 
結婚して双子の子供ができ、東京で2人を見るのは難しいと、3年前に奥さんの実家がある札幌に移住を考えていた矢先、石井さんの人生を変えたのは、現在お店の隣で羊牧場を営む「西川農場」の西川祟徳さんとの出会いでした。

西川さん:「うちの商品だけ販売するのではなく、地元の農産物も併せて販売できないかなと考えて東京のお店を回っていたんです。そしたら石井さんが勤めていて…。すごいまじめで責任感のある人だったので、連絡先を聞いたんです。こういうことができるよという投げかけをして石井さんが挑戦して…。あまり今まで美唄になかったタイプのお店を作ってくれました」

西川さんの手助けもあり、2017年にオープンしたお店はわずか2年で、市内のみならず、遠くの町からもわざわざ買いに来る人も少なくない、人気店へと成長したんです。
 
石井さん:「新しいこと尽くしで正直不安だったんですけど、おいしい食材があって、美唄を盛り上げたいと思っている方々がいて、壁がなく受け入れてくれたんですよね。美唄じゃないと成り立たなかったと思います」

「生産者の顔が見えるパン」 美唄の食材を使った“お酒”に合うパンとは?

石井さん:「一番難しいのは酸味を出すパンなんです。酸は料理で大事な部分と思っていて、それが入ることで味の奥行きが出てくるんですよね」
 
酸味があるパンの入門編として石井さんが紹介してくれたのは、酸味が乗った小麦酵母を配合した「カンパーニュ」というパンです。

石井さん:「香りは少しすっぱいです。食べると甘みが来たり香ばしさがきたり、その中にギュッと酸っぱいのがあらわれて。でも最後はスーッと消えていって小麦の甘さが残ってくれるので、酸味が苦手な方でも楽しんでもらえるかなと思います」
 
石井さんは、パンをただ作るだけではなく“文化”として楽しんでほしいという思いから、あるスタイルを提案しています。
 
石井さん:「“咀嚼”を楽しみながら酒を飲む。僕がやっていてすごく衝撃的でした。その組み合わせはまだまだ浸透していない中でも、近隣に有名なワインが多いので、ワインとパンを楽しんでもらう習慣を少しずつ広めていきたいんです」

「カフェ ストウブ」にはパンだけではなく、空知地方で作られている良質なワインが並びます。特別にワインに合うパンを選んでもらいました。

まずは赤ワイン「ヒノデダンケ・ルージュ2016」に合うこちら。イチジクが生地に溶け込み、香ばしいクルミと相性の良いイチジクが合わさったパンです。

そして、白ワイン「KURISAWA BLANC2016」には、元々夏に「ビールに合わせて一緒に食べられたらいいな」と思って作ったという、じっくり炒めたタマネギと、粗めにつぶした黒こしょうがパリッと効いた、おつまみに合うパンがおすすめ。
 
石井さん:「空知にはワインの作り手の方がたくさんいらっしゃいますし、店にも顔を出してくれるんです。ワインには作り手の“人柄”がとても出るので、自分のパンも“人柄”だと思っているので、切っても切れないと思っています」
 
そのパンの人柄がしっかり分かるのが、奥さんの由佳さんが作るこちらのサンドイッチです。

全て近隣の農家で採れた美唄産の野菜を使っていて、数あるハード系のパンの中でも人気の一品。店内で食べられる皿盛りのサンドイッチなんです。
お客さんに話を聞くと…
「美唄に住んでいても、なかなか美唄のものを食べることがなくて。ここはおいしい美唄の味を引き出してもらえるので、楽しみにしています」
 
最も人柄が出るサンドイッチのメインとなるソーセージは、隣の西川農場で育てられたある特別な羊。それが、美唄の特産品「グリーンアスパラ」の切り落としを与えて育てた「アスパラひつじ」なんです。

アスパラに多く含まれている体調を整える成分、アスパラギン酸を摂取した羊は、うま味成分であるグルタミン酸が輸入の羊の1.5倍以上含まれるなど、健康的でうまみが強い肉質になるそうです。「パンを邪魔することがない需要な食材」なんですね。

「自分がいなければいけない場所」美唄の魅力を発信するために…

地域のおいしいものを使って、地域のおいしいものをよりおいしく味わってもらうのが石井さんの目指すコンセプトの一つ。
 
石井さん:「今その瞬間は、知識や技術だったりを100%になるよう目指して作っているんですけど、全部がゴールだと思っていなくて。話したり・聞いたり・食べたりと影響を受けて、いい意味でぶれていくんですよね。自分の中でストーリーを作るというか…。それが人柄が出てくる自由なパンにつながっていくのかなと思います」
 
そして石井さんをそばでずっと支えてきた奥さんの由佳さんからみたご主人は…。

由香さん:「これをもっとこういう食感にしたいとか、たくさんパターンを考えた中で一つの答えを導き出す考え方をしているので、「まだ答えが出ないの?」と思う時もありますね。でも、本当に考えてのことなんだな、と今では理解しています。どんどんおもしろくしていく手伝いができればいいと思っています」
 
今は「自分がいなければいけない場所」と強く感じているという石井さん。
 
石井さん:「子供をお客さんが面倒見てくれたり、あたたかい形で受け入れてくれたので、その人たちのためにも“美唄の魅力ってこういうところがある”、“こんなおいしい食材がある”というのを意識して発信していけるよう頑張りたいです」
 
素敵な人柄とおいしさが詰まったきせきのパン。これからも美唄の魅力を伝えていってくださいね。

カフェ ストウブ
住所:美唄市西5条北5丁目5-5
TEL:0126-35-4077
営業時間:午前10時~午後6時
定休日:月・火曜
 
★全粒粉50 1個1000円(ハーフサイズ500円)
★ゴマ・クルミ・オーツ麦 1個520円
★プルーン・アンズ・クリームチーズ 1個560円
★カンパーニュ 1個1000円(ハーフサイズ500円)
★イチジクとクルミ 1個780円
★玉ねぎと黒こしょう 1個480円
★レバーケーゼと半熟卵のサンド(サラダ付き) 900円
 
(2019年8月29日「みんテレ」より)

Twitter Instagram
みんテレ   
Twitter Instagram
夕方の情報番組「みんテレ」です。月曜から金曜の午後3時50分~7時まで放送中!お得な情報、最新ニュース、スポーツ、芸能、気になる街のウワサまで、「いま知りたい」ことをお伝えする番組です。アポなし、台本なしで街ぶらする「明るい散歩」、地元で愛される名店の軌跡を辿る「キセキの食堂」など、人気コーナーで取り上げた情報をお届けします。
みんテレ

ライターからのお知らせ!

最近の投稿

メディア

海外でも販売!奇想天外のパン屋さん「しげぱん」

メディア

美容や二日酔いにも効果的♪ 十勝の新たな作物「落花生」のとれたてメシ!

メディア

理想のカツ丼?!ボリューム満点! 創業63年目の夫婦で営む定食屋「なかむら」