2024.11.22

グルメ

いい夫婦の日!忘れていた人は次の機会はこれ! デザイナーのセンス光るオーダーケーキ 【札幌】

  「大好きなアーティストの一曲をイメージしたケーキを」「『赤毛のアン』の世界を表現してほしい」ー。こんな依頼に応えてくれる菓子店が札幌にあります。食べるのがもったいないほどの傑作ぞろい。直径12センチの “おいしいアート”の世界をのぞいてみましょう。
 

 札幌市中央区の洋菓子店「菓子を仕立てるカシミヤ」。こぢんまりとして見えるビルの2階の工房で、オーダーケーキを予約販売しています。まずは、どのようなケーキを作ってもらえるのか、一部を写真で紹介します。

白キジトラのケーキ(写真提供:菓子を仕立てるカシミヤ)


黒猫のケーキ(写真提供:菓子を仕立てるカシミヤ)

 「2匹の飼いネコをモチーフに」との注文で作った2つのケーキ。クッキーでできた主役のネコが、自家製マロングラッセやミニカヌレ、花の形のパイやクッキーに囲まれて幸せそうです。
 銀河を表現したケーキ。丸いチョコでできた惑星の模様がリアルです。チョコの中には、オレンジピールやドライクランベリー、いちじくが入っていて、一つ一つが違ったおいしさなのも楽しいです。

銀河ケーキ(写真提供:菓子を仕立てるカシミヤ)


パティシエで、アートディレクターでもある矢野さん

独創的なケーキを作っているのは、矢野佳糸美さん(51)。パティシエとアートディレクターというふたつの肩書きを生かして活躍しています。

矢野さんはグラフィックデザイナーとして26年間活動してきました。企業のブランディングを手がけ、ロゴやパッケージを考案。企業からの要望を的確に聞き取って形にしていく、やりがいのある仕事でした。

一方、子供の頃の憧れの職業はお菓子屋さん。「母にドーナツやクッキーの生地を作ってもらい、粘土遊びのように型抜きしたり丸めたりするのが大好きでした」と振り返ります。
 グラフィックデザイナーのかたわら、プライベートで趣味のお菓子作りを極めていく中で、ある思いが湧き上がってきました。「グラフィックデザインの経験を生かしたお菓子屋さんを開きたい」。勤めていた会社を2020年に退職し、開業準備を経て、2022年5月に工房を構えました。

工房のロゴも矢野さんがデザイン


有名なゲームの世界観をテーマに、カラフルなチョコレートをインクに見立てた楽しい雰囲気(写真提供:菓子を仕立てるカシミヤ)

 ケーキの注文はまず、申し込みフォームなどで寄せてもらいますが、その後、矢野さんは依頼主と電話でなるべく直接話すようにしているそう。
 例えば、「かわいい感じにして」という依頼が来た場合。シンプルでナチュラルな雰囲気、カラフルでメルヘンっぽい雰囲気など、「その人が求めている『かわいい』の基準はいろいろと違うので、具体的なお話を聞いてイメージを膨らませます」と矢野さん。味のバランスも考えて全体のデザインをまとめていきます。
 「赤毛のアン」が大好きという人からの依頼。麦わら帽子はクッキー、三つ編みはチョコレートクリームです。麦わら帽子の細かい模様を再現するため、粘土工作用の細工棒を活用。ケーキの飾りもすべて食べられるよう、小さいパーツも手作りします。

 「お菓子作り用の市販の器具では細部を表現しきれないこともあり、小さなメイク道具や工作道具を工夫して使ったり、自分で道具を作ったりすることもあります」(矢野さん)というこだわりです。

三つ編みが揺れ動いているような感じも生き生きと表現した赤毛のアンのケーキ(写真提供:菓子を仕立てるカシミヤ)


「冷血」のケーキ(写真提供:菓子を仕立てるカシミヤ)

 「ラッパーのDOTAMAさんが歌う『冷血』という曲をイメージして」という注文の際には、曲を聞いた上で、ピンと張り詰めた冷たい世界を真っ青なレアチーズタルトやクラッシュゼリーで表現。依頼主がこの曲に対して感じるという「どんな状況でも夢を叶えていく強い意志」を、チョコレートで作った赤い水玉でプラスしました。
依頼主は道外在住。SNSで矢野さんのケーキを見て、北海道旅行に合わせてわざわざ注文してくれたそうです。
 焼き菓子もかわいいデザインで、看板商品は「水玉バターサンド」です。イチゴやレモンなど4種類の味。北海道産発酵バターを使ったバタークリームをしっかりと味わえるよう、3センチもの厚さがあります。冷凍のままアイスのように食べても、解凍してクッキーとクリームを馴染ませて食べても楽しめます。

 「このお菓子を全国へ広めるため、配送システムを整えたい」と、クラウドファンディングを9月に実施。目標金額の2.5倍の70万円以上を達成できました。水玉バターサンドのおいしさはもちろん、矢野さんの真摯な姿勢や人柄が多くの人を魅了したのでしょう。

水玉バターサンド(写真提供:菓子を仕立てるカシミヤ)

 工房では焼き菓子を販売。取材した日には「水玉ジャムサンドクッキー」(330円)や、自家製マロングラッセを載せた「マロンフィナンシェ」(350円)などがありました。ブルーチーズとブルーベリーのフィナンシェや、ココアとブラックペッパーのクッキーなど、個性的で大人の味わいのお菓子が登場する日も。販売内容は日替わり、日程は月替わりです。
 店名の「カシミヤ」は、矢野さんの下の名前をかけているだけではありません。柔らかく、上質で、少ししか取ることができない貴重なカシミヤになぞらえ、「自分のお菓子もそうありたい」という矢野さんの願いや目標が込められています。

 オーダーメイドの服が自分にぴったりと合うように、「自分の気持ちや理想にぴったりと寄り添ってくれる唯一無二のオーダーケーキ」を味わってみませんか。

焼き菓子販売日にはビルの入り口に立て看板があります


ビル入り口の看板。控えめに掲げられています

 ケーキのオーダーは受け取り希望日の8日前まで。価格は4号(直径12センチ)6,480円から。デザインの内容や使用する素材などによって料金が変わります。詳細、申し込みはHPへ。

SASARUがオリジナルケーキをオーダーしてみました!
詳しくはこちら:オリジナルケーキ大盛況!デザイナーが作る「喜ばせケーキ」発見!【札幌】
https://sasaru.media/article/gourmet/20241114_003/
菓子を仕立てるカシミヤ
住所:札幌市中央区北4条西14丁目1-35、カネソビル2階
電話:011-590-4759
営業時間:平日は午前11時〜午後7時、土・日曜は正午〜午後6時(焼き菓子販売日はInstagramで告知)
定休日:火曜のほか、不定休
HP:https://www.kashimiya-sweets.com/
Instagram:@kashimiya_sweets

(上記の情報は記事作成時のものです。
最新情報は上記問い合わせ窓口へご確認下さい)
 札幌市中央区の洋菓子店「菓子を仕立てるカシミヤ」。こぢんまりとして見えるビルの2階の工房で、オーダーケーキを予約販売しています。まずは、どのようなケーキを作ってもらえるのか、一部を写真で紹介します。

白キジトラのケーキ(写真提供:菓子を仕立てるカシミヤ)


黒猫のケーキ(写真提供:菓子を仕立てるカシミヤ)

 「2匹の飼いネコをモチーフに」との注文で作った2つのケーキ。クッキーでできた主役のネコが、自家製マロングラッセやミニカヌレ、花の形のパイやクッキーに囲まれて幸せそうです。

銀河ケーキ(写真提供:菓子を仕立てるカシミヤ)

 銀河を表現したケーキ。丸いチョコでできた惑星の模様がリアルです。チョコの中には、オレンジピールやドライクランベリー、いちじくが入っていて、一つ一つが違ったおいしさなのも楽しいです。

パティシエで、アートディレクターでもある矢野さん

独創的なケーキを作っているのは、矢野佳糸美さん(51)。パティシエとアートディレクターというふたつの肩書きを生かして活躍しています。

矢野さんはグラフィックデザイナーとして26年間活動してきました。企業のブランディングを手がけ、ロゴやパッケージを考案。企業からの要望を的確に聞き取って形にしていく、やりがいのある仕事でした。

一方、子供の頃の憧れの職業はお菓子屋さん。「母にドーナツやクッキーの生地を作ってもらい、粘土遊びのように型抜きしたり丸めたりするのが大好きでした」と振り返ります。

工房のロゴも矢野さんがデザイン

 グラフィックデザイナーのかたわら、プライベートで趣味のお菓子作りを極めていく中で、ある思いが湧き上がってきました。「グラフィックデザインの経験を生かしたお菓子屋さんを開きたい」。勤めていた会社を2020年に退職し、開業準備を経て、2022年5月に工房を構えました。

有名なゲームの世界観をテーマに、カラフルなチョコレートをインクに見立てた楽しい雰囲気(写真提供:菓子を仕立てるカシミヤ)

 ケーキの注文はまず、申し込みフォームなどで寄せてもらいますが、その後、矢野さんは依頼主と電話でなるべく直接話すようにしているそう。
 例えば、「かわいい感じにして」という依頼が来た場合。シンプルでナチュラルな雰囲気、カラフルでメルヘンっぽい雰囲気など、「その人が求めている『かわいい』の基準はいろいろと違うので、具体的なお話を聞いてイメージを膨らませます」と矢野さん。味のバランスも考えて全体のデザインをまとめていきます。

三つ編みが揺れ動いているような感じも生き生きと表現した赤毛のアンのケーキ(写真提供:菓子を仕立てるカシミヤ)

 「赤毛のアン」が大好きという人からの依頼。麦わら帽子はクッキー、三つ編みはチョコレートクリームです。麦わら帽子の細かい模様を再現するため、粘土工作用の細工棒を活用。ケーキの飾りもすべて食べられるよう、小さいパーツも手作りします。

 「お菓子作り用の市販の器具では細部を表現しきれないこともあり、小さなメイク道具や工作道具を工夫して使ったり、自分で道具を作ったりすることもあります」(矢野さん)というこだわりです。

「冷血」のケーキ(写真提供:菓子を仕立てるカシミヤ)

 「ラッパーのDOTAMAさんが歌う『冷血』という曲をイメージして」という注文の際には、曲を聞いた上で、ピンと張り詰めた冷たい世界を真っ青なレアチーズタルトやクラッシュゼリーで表現。依頼主がこの曲に対して感じるという「どんな状況でも夢を叶えていく強い意志」を、チョコレートで作った赤い水玉でプラスしました。
依頼主は道外在住。SNSで矢野さんのケーキを見て、北海道旅行に合わせてわざわざ注文してくれたそうです。

水玉バターサンド(写真提供:菓子を仕立てるカシミヤ)

 焼き菓子もかわいいデザインで、看板商品は「水玉バターサンド」です。イチゴやレモンなど4種類の味。北海道産発酵バターを使ったバタークリームをしっかりと味わえるよう、3センチもの厚さがあります。冷凍のままアイスのように食べても、解凍してクッキーとクリームを馴染ませて食べても楽しめます。

 「このお菓子を全国へ広めるため、配送システムを整えたい」と、クラウドファンディングを9月に実施。目標金額の2.5倍の70万円以上を達成できました。水玉バターサンドのおいしさはもちろん、矢野さんの真摯な姿勢や人柄が多くの人を魅了したのでしょう。
 工房では焼き菓子を販売。取材した日には「水玉ジャムサンドクッキー」(330円)や、自家製マロングラッセを載せた「マロンフィナンシェ」(350円)などがありました。ブルーチーズとブルーベリーのフィナンシェや、ココアとブラックペッパーのクッキーなど、個性的で大人の味わいのお菓子が登場する日も。販売内容は日替わり、日程は月替わりです。

焼き菓子販売日にはビルの入り口に立て看板があります

 店名の「カシミヤ」は、矢野さんの下の名前をかけているだけではありません。柔らかく、上質で、少ししか取ることができない貴重なカシミヤになぞらえ、「自分のお菓子もそうありたい」という矢野さんの願いや目標が込められています。

 オーダーメイドの服が自分にぴったりと合うように、「自分の気持ちや理想にぴったりと寄り添ってくれる唯一無二のオーダーケーキ」を味わってみませんか。

ビル入り口の看板。控えめに掲げられています

 ケーキのオーダーは受け取り希望日の8日前まで。価格は4号(直径12センチ)6,480円から。デザインの内容や使用する素材などによって料金が変わります。詳細、申し込みはHPへ。

SASARUがオリジナルケーキをオーダーしてみました!
詳しくはこちら:オリジナルケーキ大盛況!デザイナーが作る「喜ばせケーキ」発見!【札幌】
https://sasaru.media/article/gourmet/20241114_003/
菓子を仕立てるカシミヤ
住所:札幌市中央区北4条西14丁目1-35、カネソビル2階
電話:011-590-4759
営業時間:平日は午前11時〜午後7時、土・日曜は正午〜午後6時(焼き菓子販売日はInstagramで告知)
定休日:火曜のほか、不定休
HP:https://www.kashimiya-sweets.com/
Instagram:@kashimiya_sweets

(上記の情報は記事作成時のものです。
最新情報は上記問い合わせ窓口へご確認下さい)

大矢理恵

ライター

北海道新聞の元記者です。13年間、札幌や室蘭、釧路で勤務。現在は「北海道新聞デ ジタル」や地域情報紙「さっぽろ10区(トーク)」、WEBサイト「Trip Eat 北海道」 にも執筆しています。硬軟問わず、あらゆる話題を取材します! クジラ大好き歴30 年超。国内外でのホエールウオッチングのほか、タヒチでホエールスイミングも体験 。夢はメキシコでシロナガスクジラを見ること。旭川出身、札幌在住。

Official SNS 公式SNS

フォローして最新情報を受け取る