2021.12.25

グルメ

美食家"心から惚れた"札幌の名店 素晴らしきフレンチディナー【1級フードアナリスト】

井上雄彦

1級フードアナリスト・料理研究家

『SASARU』編集部から、今年最後になる記事のテーマの相談を受けた際に、どうしても紹介したいレストランがあるとお願いしたのが今回の『モリエール (restaurant Moliere)』。

もちろん、全国の食いしん坊が憧れる札幌の超有名フレンチレストランです。

今更ながらですが、1級フードアナリストとしての視点で、このレストランの素晴らしさを改めて紹介させて頂きます。

今まで2回発行されている『ミシュラン北海道』で、2度連続、唯一三つ星を獲得。

フランスでミシュランと双璧と云われているレストランガイド『ゴ・エ・ミヨ日本版』でも高評価を受けている北海道を代表する名店。

しかし今回紹介したいのは、そんなレストランガイドだけでは表現され尽くされていない、このお店の本当の素晴らしさなのです。
札幌のレストランはレベルが高く、美味しく素晴らしいお店も多いですが、残念ながら有名店になるにしたがってその店を訪れるのは、本州からや新型コロナ影響前はインバウンドのお客さんが多くなり、それにともない高級食材を用意し値段も大幅にアップ。

オペレーションも2名からしか予約を受け付けない、一斉食事時間スタートなど、店側の都合に合わせてしまうお店が増えた。

そこには地元で「ちょっとハレの日に家族で美味しいレストランに行きたい」というお客さんの気持ちに応えられなくなってしまっている現実もあり、また僕のような単身赴任者や、お一人様では店に伺えなくなり寂しい思いをしている人も多い。

モリエール ボタン海老グリル


モリエール 玉葱のキッシュ

しかし『モリエール (restaurant Moliere)』は、ミシュラン三つ星、ゴ・エ・ミヨ高評価の店でありながら、そこが全く違う。

もちろんお一人様から予約が可能だし、コース料理を注文できることが条件ではあるが、小学生でも入店することができる。値段も一昨年食材の高騰で気持ち程度に値上げをしたが内容を考えると今なお割安感があり、なんとランチコースでは4,600(税込・サ別)から用意されている。

このコースばかり注文されたら、店としたら立ちゆかないだろうが、以前に僕が「なんでこんなにもリーズナブルなコースがあるの?」と聞いたところ、「社用などでこのレストランで訪れて気に入ってくださったお客様が、定年退職などでリタイアした後でも、ずっと自分のお小遣いでも通って頂きたいからです」という答えが返ってきた。

本来のレストランのあるべき姿を、僕はみたように思い感動したのを覚えている。
高級店でありながら「ウチは高級店ではありませんよ。家族で来て頂ける普段使いのレストランです」と言い切るこのお店は、お客を喜ばせたいという気持ちで一杯に溢れている。

提供される料理のいくつかは、皿の上にドーム型のクロッシュを被せられて運ばれるが、それをとると、ソースや副菜しかない。

エッという顔をしているお客の前に、熱々の料理が別に運ばれてくるなど、エンターメント性も忘れていない。スタッフ全員があたたかいのである。
 

モリエール 鶉のキノコリゾット詰め


モリエール 鮑

料理の話しをしだすと、会話が止まらなくなる中道博オーナーシェフ(2021年度農林水産省料理人顕彰制度[通称:料理人マスターズ]で、最高位のゴールド賞を受賞されました)、厨房内のリーダーとして任せられている今智行シェフを中心に作り出される料理は、美味しく優しさと思いやりに溢れている。

「料理とは愛だ!」と、人柄が映し出された料理は本当に素晴らしい。

僕は素晴らしい料理人が作る料理には"良い氣"というものがあって、その料理を食べることによって元氣をもらえると思います。『モリエール (restaurant Moliere)』の料理は正に元氣をもらえます。

そして安永純二マネージャーを中心にした、接客のホスピタリティーも素晴らしい。

適度に話し掛けるトークも心温まる。僕のような一人客にも心遣いを忘れないし、超一流の接客であり、まるで我が家にいるような居心地の良さを提供してくれる。
 
基本的に北海道産の食材を使っており、またいくつものスペシャリテ*がある。

往々にして多くのレストランでは一番設定の高価なコースに含まれることが多いが、この店では、時期にもよるがすべてのコースに、様々なスペシャリテという料理がある。

例えば一番高いコースに含まれる<鮑>のスペシャリテは、イカスミの入ったパン粉が付けられてカリッと焼きあげられます。

それをパンチの利いた鮑の肝を、酒粕で溶いたソースで頂くと堪らない美味しさである。その一方でリーズナブルなコースで提供される<カスベ>のスペシャリテは、カラッとムニエルされバターの風味が豊かで、ケッパーや柑橘の果実の酸味のバランス、そしてクルトンの食感が素晴らしい。

ちなみに<カスベ>とは北海道ではよく食べられる食材で、エイのヒレのことです。

この庶民的な食材を完成度の高いスペシャリテに仕上げているのだ。そもそも食材の値段は経済が決めることで、神や仏の前では一つの命であることに変わりなく、その命を頂いて我々は自らの命を繋いでいることを忘れないでいたいですね。

*「スペシャリテ」スペシャリティーのフランス語読み

モリエール カスベのムニエル


モリエール ポテトグラタン

定番的に提供される<玉葱のキッシュ>や、メインに必ずと云ってよいほど添えられる<ポテトグランタン>など、毎回楽しみにしている料理も多い。

またこの店のリゾットは、セオリー通りに作っているというのだが、これだけ食べ歩いている僕の中でも特筆すべき美味しさである。
<毛蟹のリゾット>のように、メイン料理として提供されることもあれば、<鮑>料理に<鮑の肝のリゾット>として添えられることもある。

 

モリエール 毛蟹のリゾット

そして<モリエールの温サラダ>は、20種類以上の温野菜を梅やバジルなどのソース、生ハムなどと自分で3~5回和えて食べると食感や味の変化が楽しめて美味しいが、これに似たものを何度も他のレストランで頂いているが、この店の美味しさには及ばない。
メイン料理の後には、サービスで一口のパンの上にチーズをのせたものが提供される。

お腹の空き具合の調整として提供されるのだが、毎回これも素晴らしく美味しくて、お腹が一杯でもお願いしてしまう一皿です。

モリエール ライ麦パンとラクレットチーズ


モリエール デザート ミカンのジェラート

料理が折角美味しくても、デザートが今ひとつでがっかりした経験はありませんか?

でもこちらのお店ではそんな心配も不要です。
大抵2~3種類のデザートが提供されますが、<アップルパイ>や<百合根のモンブラン>、<シュトーレン>など季節のお菓子とともに、極上のフルーツを利用したデザートも美味しくて最後まで大満足。口直しで提供される<アールグレイのソルベ>も、定番のお楽しみです。
 
全国食通の憧れ「北海道食材」を大切にしたレストランでありながら、地元愛に溢れる素敵さ…是非通い詰めたいレストランです。
 
美味しいものを食べると人は笑顔になります。
どうかこの記事を読んだ皆様が健康で素敵な幸せな年を迎えられますように。
 
『モリエール (restaurant Moliere)』
住所:札幌市中央区宮ケ丘2-1-1 ラファイエット宮ヶ丘1F
電話番号::011-631-3155
定休日:水曜日
営業時間:ランチ午前11時30分~午後2時(L.O.)
     ディナー午後5時30分~午後8時(L.O.)
Webサイト:restaurant Moliere
今まで2回発行されている『ミシュラン北海道』で、2度連続、唯一三つ星を獲得。

フランスでミシュランと双璧と云われているレストランガイド『ゴ・エ・ミヨ日本版』でも高評価を受けている北海道を代表する名店。

しかし今回紹介したいのは、そんなレストランガイドだけでは表現され尽くされていない、このお店の本当の素晴らしさなのです。

モリエール ボタン海老グリル

札幌のレストランはレベルが高く、美味しく素晴らしいお店も多いですが、残念ながら有名店になるにしたがってその店を訪れるのは、本州からや新型コロナ影響前はインバウンドのお客さんが多くなり、それにともない高級食材を用意し値段も大幅にアップ。

オペレーションも2名からしか予約を受け付けない、一斉食事時間スタートなど、店側の都合に合わせてしまうお店が増えた。

そこには地元で「ちょっとハレの日に家族で美味しいレストランに行きたい」というお客さんの気持ちに応えられなくなってしまっている現実もあり、また僕のような単身赴任者や、お一人様では店に伺えなくなり寂しい思いをしている人も多い。

モリエール 玉葱のキッシュ

しかし『モリエール (restaurant Moliere)』は、ミシュラン三つ星、ゴ・エ・ミヨ高評価の店でありながら、そこが全く違う。

もちろんお一人様から予約が可能だし、コース料理を注文できることが条件ではあるが、小学生でも入店することができる。値段も一昨年食材の高騰で気持ち程度に値上げをしたが内容を考えると今なお割安感があり、なんとランチコースでは4,600(税込・サ別)から用意されている。

このコースばかり注文されたら、店としたら立ちゆかないだろうが、以前に僕が「なんでこんなにもリーズナブルなコースがあるの?」と聞いたところ、「社用などでこのレストランで訪れて気に入ってくださったお客様が、定年退職などでリタイアした後でも、ずっと自分のお小遣いでも通って頂きたいからです」という答えが返ってきた。

本来のレストランのあるべき姿を、僕はみたように思い感動したのを覚えている。

モリエール 鶉のキノコリゾット詰め

高級店でありながら「ウチは高級店ではありませんよ。家族で来て頂ける普段使いのレストランです」と言い切るこのお店は、お客を喜ばせたいという気持ちで一杯に溢れている。

提供される料理のいくつかは、皿の上にドーム型のクロッシュを被せられて運ばれるが、それをとると、ソースや副菜しかない。

エッという顔をしているお客の前に、熱々の料理が別に運ばれてくるなど、エンターメント性も忘れていない。スタッフ全員があたたかいのである。
 

モリエール 鮑

料理の話しをしだすと、会話が止まらなくなる中道博オーナーシェフ(2021年度農林水産省料理人顕彰制度[通称:料理人マスターズ]で、最高位のゴールド賞を受賞されました)、厨房内のリーダーとして任せられている今智行シェフを中心に作り出される料理は、美味しく優しさと思いやりに溢れている。

「料理とは愛だ!」と、人柄が映し出された料理は本当に素晴らしい。

僕は素晴らしい料理人が作る料理には"良い氣"というものがあって、その料理を食べることによって元氣をもらえると思います。『モリエール (restaurant Moliere)』の料理は正に元氣をもらえます。

そして安永純二マネージャーを中心にした、接客のホスピタリティーも素晴らしい。

適度に話し掛けるトークも心温まる。僕のような一人客にも心遣いを忘れないし、超一流の接客であり、まるで我が家にいるような居心地の良さを提供してくれる。
 

モリエール カスベのムニエル

基本的に北海道産の食材を使っており、またいくつものスペシャリテ*がある。

往々にして多くのレストランでは一番設定の高価なコースに含まれることが多いが、この店では、時期にもよるがすべてのコースに、様々なスペシャリテという料理がある。

例えば一番高いコースに含まれる<鮑>のスペシャリテは、イカスミの入ったパン粉が付けられてカリッと焼きあげられます。

それをパンチの利いた鮑の肝を、酒粕で溶いたソースで頂くと堪らない美味しさである。その一方でリーズナブルなコースで提供される<カスベ>のスペシャリテは、カラッとムニエルされバターの風味が豊かで、ケッパーや柑橘の果実の酸味のバランス、そしてクルトンの食感が素晴らしい。

ちなみに<カスベ>とは北海道ではよく食べられる食材で、エイのヒレのことです。

この庶民的な食材を完成度の高いスペシャリテに仕上げているのだ。そもそも食材の値段は経済が決めることで、神や仏の前では一つの命であることに変わりなく、その命を頂いて我々は自らの命を繋いでいることを忘れないでいたいですね。

*「スペシャリテ」スペシャリティーのフランス語読み

モリエール ポテトグラタン

定番的に提供される<玉葱のキッシュ>や、メインに必ずと云ってよいほど添えられる<ポテトグランタン>など、毎回楽しみにしている料理も多い。

またこの店のリゾットは、セオリー通りに作っているというのだが、これだけ食べ歩いている僕の中でも特筆すべき美味しさである。

モリエール 毛蟹のリゾット

<毛蟹のリゾット>のように、メイン料理として提供されることもあれば、<鮑>料理に<鮑の肝のリゾット>として添えられることもある。

 
そして<モリエールの温サラダ>は、20種類以上の温野菜を梅やバジルなどのソース、生ハムなどと自分で3~5回和えて食べると食感や味の変化が楽しめて美味しいが、これに似たものを何度も他のレストランで頂いているが、この店の美味しさには及ばない。

モリエール ライ麦パンとラクレットチーズ

メイン料理の後には、サービスで一口のパンの上にチーズをのせたものが提供される。

お腹の空き具合の調整として提供されるのだが、毎回これも素晴らしく美味しくて、お腹が一杯でもお願いしてしまう一皿です。

モリエール デザート ミカンのジェラート

料理が折角美味しくても、デザートが今ひとつでがっかりした経験はありませんか?

でもこちらのお店ではそんな心配も不要です。
大抵2~3種類のデザートが提供されますが、<アップルパイ>や<百合根のモンブラン>、<シュトーレン>など季節のお菓子とともに、極上のフルーツを利用したデザートも美味しくて最後まで大満足。口直しで提供される<アールグレイのソルベ>も、定番のお楽しみです。
 
全国食通の憧れ「北海道食材」を大切にしたレストランでありながら、地元愛に溢れる素敵さ…是非通い詰めたいレストランです。
 
美味しいものを食べると人は笑顔になります。
どうかこの記事を読んだ皆様が健康で素敵な幸せな年を迎えられますように。
 
『モリエール (restaurant Moliere)』
住所:札幌市中央区宮ケ丘2-1-1 ラファイエット宮ヶ丘1F
電話番号::011-631-3155
定休日:水曜日
営業時間:ランチ午前11時30分~午後2時(L.O.)
     ディナー午後5時30分~午後8時(L.O.)
Webサイト:restaurant Moliere

井上雄彦

1級フードアナリスト・料理研究家

普段は食に全く関係のないメーカーのサラリーマン。生来の食いしん坊が高じて1級フードアナリスト、1級だしソムリエ、唎酒師、調理師と次々に食に纏わる資格を取得。12年間で食べ歩いたお店は日本全国でのべ1800軒以上。休日余暇には趣味の一環として講師、講演会を通じ尊命敬食、日本人の食の精神(神人共食)、日本人とお米について伝えることをライフワークとしつつ今日も美味しいお店を探す日々を過ごしています。

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